グレーな彼女と僕のブルー
「勿論病院に行った。痛くて目を開けていられなくて、涙みたいなものが止まらなかった。
お医者さんからは角膜穿孔外傷っていう診断を受けたんだけど、目を保護する角膜にほんの僅かな穴が空いていることと、蜂毒による感染で視力が低下するから最悪の場合、角膜移植が必要になるって言われたの」
スラスラと流れるように説明されるが、病名や状態は想像しにくくなかなか頭に入ってこない。代わりに目の奥が痛くなった。
「それで……手術したのか?」
うん、と紗里が頷いた。
「右目の視力が完全になくなって失明したからね。手術は上手くいったし、経過観察も問題なかった。
でも術後から半年経ったころ、右目の色が変わったの。視力はちゃんと回復しているのに色だけ変わっちゃって……不安で何度か病院を受診した。けど、何も問題はないって言われたの」
話の途中で俯き、紗里は暫し無言になった。左目に指を当て、おもむろに顔を上げた。
「……あ」
紗里の目の、左右の色が違っていた。左目は深い黒目なのに、右目だけが明るいグレーだ。
お医者さんからは角膜穿孔外傷っていう診断を受けたんだけど、目を保護する角膜にほんの僅かな穴が空いていることと、蜂毒による感染で視力が低下するから最悪の場合、角膜移植が必要になるって言われたの」
スラスラと流れるように説明されるが、病名や状態は想像しにくくなかなか頭に入ってこない。代わりに目の奥が痛くなった。
「それで……手術したのか?」
うん、と紗里が頷いた。
「右目の視力が完全になくなって失明したからね。手術は上手くいったし、経過観察も問題なかった。
でも術後から半年経ったころ、右目の色が変わったの。視力はちゃんと回復しているのに色だけ変わっちゃって……不安で何度か病院を受診した。けど、何も問題はないって言われたの」
話の途中で俯き、紗里は暫し無言になった。左目に指を当て、おもむろに顔を上げた。
「……あ」
紗里の目の、左右の色が違っていた。左目は深い黒目なのに、右目だけが明るいグレーだ。