激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

そこで姉妹の父である公造は、銀行にとって大口融資先である月城不動産の御曹司である颯真と自分の娘の結婚を申し出た。いわゆる政略結婚である。

元々父親同士が大学の同窓で、なおかつ長女の弥生は一人息子である颯真と同級生。

お誂え向きの環境に、話は父親同士のみでトントン拍子に進んでいった。


小柄で可愛らしい顔立ちの千花とは違い、弥生はスラッと長身で美人、姉御肌で誰からも慕われる快活な女性だった。

5つ年下の妹である千花を溺愛する姿を周囲からシスコンと呆れられても「だって千花が可愛すぎるから」と笑い飛ばしてくれる、大好きな姉。

勉強も運動も常に学年でトップを争い、同じ習い事をしても「お姉ちゃんを見習って頑張りなさい」と言われるのが常。

自慢で憧れの存在であった姉に同時にコンプレックスを抱いてしまったのは致し方ないことだった。



< 10 / 162 >

この作品をシェア

pagetop