激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

「弥生」
「自分勝手なのはわかってる。何度だって2人に謝る。でも好きなの…、我慢できなかった…ごめん…ほんとに、ごめんなさい……」

大学卒業当時なのだから22歳。その年の女性が親からのプレッシャーに耐えかね、何もかも捨てて自分が心から好きで甘やかしてくれる年上の恋人と生きていきたいと願ったのを、どうしてこれ以上責められるだろう。

いくら弥生が幼い頃から優秀だったとはいえ、彼女だって守られるべき女性なのだ。

「いや、悪い。俺も感情的になって言い過ぎた。この結婚話を止められなかったのには俺にも非がある」

せめて一言でも相談してくれれば。

そう思わなかったわけではないが、婚約期間の4年もの間に両親を説得しようと思えば出来ないことはなかったはずだ。それなのに何の手も打たなかったのは、颯真自身が千花との結婚を望んだからだった。

「今年の4月、式も挙げたし籍も入れた。正真正銘、千花は俺の妻になった」

涙を零す弥生の肩に手をかけ、言葉を続ける。

「この話を断らなかったのは、千花を知れば知るほど彼女を好きになったからだ」
「……え?」
「始まりはともかく…今は真剣に千花を想ってるし、絶対に幸せにする。だからこれ以上、弥生が気に病む必要はないから」

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