激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
千花への想いをハッキリと伝えると、あまりに驚いたのか弥生の涙がぴたりと止まった。ゆっくりと顔を上げ、颯真の顔をしげしげと見やる。
「千花のことを、好き…?」
「あぁ」
「家のこととか抜きで?」
「抜きで」
「颯真が?本気で?」
「…なんだよ、ダメなの?」
あまりの弥生の驚き様に颯真の眉間に皺が寄る。
すると彼女はさっきまで泣いていたとは思えないほど満面の笑みを見せた。
「なぁんだー!そっか、千花を本気で!そりゃそうだよね、あれだけ千花は可愛いんだもん!一緒にいれば当然好きになるよね!」
「……おい」
「昔から千花はどんな人と結婚させられるのかって心配だったの。でも颯真なら安心かな。あれだけモテてたのにあんまり恋愛に興味もなさそうだったし、遊んでるふうでもなかったし」
「……」
「ってことは、颯真は私にとっての義弟になったってこと?!あはは、なんか可笑しい!」
弥生はすっかり安心したのか先程とは打って変わって明るい表情で、それは颯真が学生時代に見ていた弥生そのものだった。
(そうだ、こういう奴だった…)
若干呆れながらも、ホッとした颯真も表情を和らげる。しかしあまりゆっくりしている時間はないため、話しておきたいことに話題を転換させた。