激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
(千花の嬉しそうな顔が見たい)
どんな顔をするだろう。
自分と同じで最初は何も言わずに出ていったことに怒るのかもしれない。口を尖らせてぷりぷり文句を言う千花も愛らしいと思う。
でもきっと最後には、嬉しさを隠しきれない花の綻ぶような笑顔を見せてくれるだろう。
そう考えながら1人寂しく夫婦のベッドで眠り、次の日の朝、出勤時間のギリギリまで千花が帰ってくるのを待ってみた。
しかし玄関が開くことはなく、充電が切れそうで返事が出来ないかもしれないと言われてはいたものの、【おはよう。今家を出る。行ってきます】という挨拶と【弥生が帰ってきてる。電話折り返してやって】とメッセージを送り職場へ向かう。
(1日のはじまりに千花の顔を見ないとやる気が出ない…)
そんなことを真剣に考えてしまう自分に苦笑する。出勤し仕事をこなしながら、何度もスマホに目を向けた。
木曜日の今日は千花は休みだが、友人はきっと仕事に違いない。そう遅くない時間に家に帰ってくるものだと思っていたが、いまだに彼女から連絡がない。
それは弥生も同様のようで、昨夜から何度か連絡をしているものの繋がらないらしい。
なんとなく焦る気持ちを抑え目の前の仕事を片付けていると、部長席の仕切りをノックして宮城が入ってきた。