激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
一番上にはメッセージカードが置かれ、『千花に似合いそうな服を贈ります。あんなにクローゼットが大きいんだから、颯真が買ってくれないなら私が買ってあげる!絶対似合うから、着たところ写真撮って送ってね』と、シスコンの弥生らしい文面が綴られていた。
「お姉ちゃん…、なんで颯くんと張り合ってるの……」
千花はメッセージカードを読み、思わず苦笑した。
ウィーンで颯真と気持ちを通じ合わせ帰国した後、年の瀬も押し迫った年末に、千花は弥生と5年ぶりの再会を果たした。
何も言わずに置き手紙ひとつ残して家を出たことを謝った弥生から、当時の状況や心境などを聞くことが出来た。
やはり森野家の長女として厳格に育てられ、何事も出来て当たり前といったプレッシャーに押しつぶされそうになっていたという。
千花はそんな何でも出来た姉にコンプレックスを抱いていたが、弥生は弥生なりに重圧に耐えていたのだ。
そのことに気が付いてあげられなかった幼い頃の自分が情けないと千花が謝ると、弥生は昔と変わらない朗らかな笑顔を向けてくれた。
「何言ってるの!あの頃なんとかギリギリまで頑張れたのは、可愛い妹の千花がいたからに決まってるでしょ!」
「お姉ちゃん…」
「…なんて、爆発して逃げ出した私が言うのもアレだけどさ」