激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

美しく煌めくステンドグラス。そのステンドグラスから眩しいほどの光を受け、輝く大理石のバージンロード。

祭壇に飾られた花やベンチフラワーは全て白で揃えられ、その場の空気をより清廉で神聖なものに思わせる。

ゴシック調の大聖堂のような厳かな教会で、戦後日本一の不動産王と呼ばれた月城廉次郎(つきしろ れんじろう)の直系の孫である月城颯真(そうま)と、スターライト・フィナンシャルグループ社長の娘である森野千花(もりの ちか)の結婚式が行われている。


『結局、今日まで弥生から連絡は来なかったか…』
『……うん』


千花は先程の控室での颯真との会話を思い出しながら、父である森野公造(こうぞう)の腕に添えていた手を離し、光輝くカラフルなステンドグラスを背に真っ直ぐに自分を見つめる颯真を見上げた。

曽祖父の代から続く月城不動産で、颯真は若干27歳にして都市開発本部の部長を務めている。創業者の直系ということを抜きにしても優秀な彼を『御曹司だから』と揶揄する人間はいない。

いずれは現在の月城不動産の社長である父親から全てを受け継ぎ、彼も『令和の不動産王』と呼ばれるようになるのだろう。

艷やかな黒髪はタキシードに合うようフォーマルに額を見せるようにセットされていて、形の良い眉と意志の強そうな二重の目が際立つ。

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