激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

愛してほしいなんて、そんな望みはもってはいけない。
夫婦として、互いを思い遣って、穏やかに生活していけばいい。

「うぁ…っ」
「千花、大丈夫。ゆっくり息吐いて」

たどたどしくを身を任せる千花を、颯真はこの上なく甘く優しく導いてくれた。

「千花」
「そ、くん…っ、や、ぁ……っ!」
「千花、大丈夫だから。我慢しないでいい」

何度も大丈夫だと告げて名前を呼び、髪を梳き、安心させるように高みへ押し上げられる。そのたびに必死に彼の身体にしがみつき、飛んでいってしまいそうな意識を手繰り寄せた。

痛みに涙しながらもひとつになれた時には、あまりの嬉しさから自然と「ありがとう」と言葉が溢れた。

「千花?」
「颯、くん…、私を奥さんにしてくれて、ありがとう…、っあ」
「……煽ったのは千花だから」
「ひ…ぁ、ああっ」

それまで初めての千花に合わせて緩やかだった律動が急に激しくなり、千花はその快感の濁流に飲み込まれるように喘ぐしか出来なくなる。

「千花。大事にするから」


――――きっと、幸せになれるはず。

翻弄される意識の中、千花は頭の片隅でそう思った。






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