激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

「あ…っ」

パジャマにしているワンピースの裾がたくし上げられ、太ももや腹部を大きな掌に撫でられる。

颯真が初めての相手だというのに、この1ヶ月の間に彼に抱かれることに慣れた身体は、耳元で囁かれ少し触れられただけで体温が上がっていく。

「可愛い」
「…っふ、ん……」

何度も重なるたびに深くなっていく口づけ。
まるで本当に愛されているかのように大切に触れられ、徐々に呼吸が浅くなっていく。

なぜ身代わりの自分がこんなに優しくしてもらえるのか、颯真の考えていることがわからないと思いながらも拒むことが出来ない。

それはたとえ姉の代わりであろうと、千花が颯真を好きになってしまったから。

淡い初恋が婚約中に確かな想いに変わり、さらにこうして寝食を共にし、何度も身体を交えてしまった今は、もう後戻り出来ないほど颯真を愛している。

彼から何度も尋ねられていた『弥生から連絡はない?』という言葉も、結婚式を最後に聞いていない。

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