激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
もしかしたら颯真は、結婚式をひとつの区切りとして弥生を諦め、千花に向き合おうとしてくれているのではないか。
だからこそ呼び方も手の繋ぎ方も変え、身体を重ねるに至ったのではないか。
もしそうだとしたら、自分は努力するだけ。
姉のように何でもこなせるように、月城不動産の御曹司である颯真の妻として彼を支えられるように。
「千花、何考えてる?」
「えっ?」
「まだそんな余裕あるんだ?」
「あっ、ちが…、んっ」
「ちゃんと俺のことだけ考えてて」
いつだって颯真のことしか考えてない。
そう告げたら、彼は一体どんな顔をするんだろう。
『じゃあ颯くんも私のことだけ考えてくれる?』
そう聞いたら、彼は一体なんと答えるんだろう。
まだそんな心の内をすべて晒せないまま考えることを放棄し、与えられる熱に身を委ねた。