激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
◇◇◇
「千花ー!こっちこっち!」
「陽菜!ごめんね、お待たせ」
5月2週目の土曜日。世間はゴールデンウィークも終わり、休み明けの気だるさを残しながらも夏に向けて動き出す季節。
今日は颯真が休日出勤をするというので、友人の霧崎陽菜(きりさき ひな)と2人でランチをする約束を取り付けた。
念の為、高校時代の友人と2人でランチに行くと颯真に報告すると、『それって女の子?』と聞かれたので、結婚式にも来てくれた陽菜だと名前を伝えたら、『楽しんでおいで』と快く送り出してもらえた。
待ち合わせた駅から少し歩いたイタリアンレストランに入り、ピザやパスタなどシェア出来るものをいくつか頼む。
「披露宴、来てくれてありがとね」
「ううん。でもさすが月城家と森野家って感じのド派手婚だったね」
「ね…。もう凄すぎてあんまり覚えてない」
「あはは!千花が主役だったのに。でもドレス姿凄い可愛かったよ。挙式のロングトレーンのも清楚だったけど、披露宴のプリンセスラインのドレス!それこそ森のお姫様って感じで」
「あぁ。挙式のは両親達に選んでもらったけど、確か披露宴のドレスは颯くんが選んでくれた気がする」
「…ドレスも両家のチェックが入ったの?」
「まぁ…、政略結婚だもん。お祝いっていうよりお披露目って感じだしね」