激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
「ほんとに?私には無理しないで何でも話していいんだよ?」
本来は姉の婚約者であったはずの男性と結婚を強いられた自分を心配してくれているのが伝わり、運ばれてきた料理を取り分けながら千花は頬を緩めた。
「本当に。でもありがと、陽菜」
「もう一緒に暮らし始めてるんだよね?」
「うん。颯くんすごい優しいし、大事にしてもらってる。私にはもったいない旦那様だと思う」
「そっか。千花が辛い思いしてないならいいんだけどさ…」
颯真との生活は苦ではない。
むしろ優しくされて甘やかされて、これでいいのかと何度も考えてしまうほど。
「好き、なんでしょ?月城さんのこと」
「……うん」
小さく笑って頷くと、陽菜は可愛らしい顔を歪める。
何度も弥生から連絡は来ていないかと問われていたのを知っている彼女も、颯真が弥生を想っていると知っていた。
だからそこ、千花が心配なのだろう。
「それより食べよう!陽菜は?仕事どう?」
少し強引ではあったが、無理矢理話題を変えることにした。
陽菜はこの春から新米保育士として働いている。
千花が憧れていた職業なだけに、色々話を聞いてみたかった。