激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

また、年頃の子供を持つ親にとっては、結婚相手を見繕い品定めする絶好の機会でもあり、子供本人にとっても出会いの場だと気軽に娯楽として考えてる人間もいる。

しかし千花にとって社交の場は決して得意でなく、居心地の悪いものだった。

その理由は、一緒にその場に出向く弥生の存在に他ならない。

姉妹とは思えないほどタイプの違う2人は、並んでしまえばその差は顕著で、背も高くスタイルのいい美人の姉と、小柄で幼く垢抜けない妹。

卒なく挨拶を交わし談笑する弥生とは違い、若干人見知り気味の千花は話しかけられても上手く喋れずおろおろしてばかり。

結局いつものように『姉に比べて妹は…』といった空気になり、それに萎縮した千花はますます話せなくなるという悪循環。

そんな周囲の苦笑交じりの視線に晒されれば、いくら大好きな弥生が『千花は誰よりも可愛いから!』と手放しで褒めてくれてもいたたまれない事この上なかった。

来月のパーティーに弥生はいないものの、月城の御曹司の妻として対外的なお披露目となる。

すでに戦々恐々としているが、決して失敗できない大きなお役目。千花はいつものようにおどおどせずに、月城颯真の妻として立派に務めなければと決意を新たにした。


< 47 / 162 >

この作品をシェア

pagetop