激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

「お詫びに、颯真の学生時代とか社会人なりたての頃のアレコレ、知りたいことあったら教えてあげるよ」
「えっ?」

つい興味を引かれて前のめりになってしまったが、宮城は何も気にしていないように話を続けた。

「でもまぁそんな変わってないか。今も昔も頭の切れるデキる男で異様にモテる、男の敵みたいな奴だよ」
「…高校の時は、生徒会長もしてましたね」

月城のバックボーンがなくても、何かとみんなから頼りにされていたイメージがある。
中学に上がったばかりの子供だった千花にとって、そんな颯真は高校生ながらとても大人に見えたものだ。

「あぁ、そうそう。弥生が副会長だったかな?」
「……はい」
「当時のあいつらの名コンビっぷりは流石だったな。何かにつけ新しいことやるのが好きな奴らでしょ。体育祭とか文化祭とか、俺らの代で結構様変わりしたんだよ。あと2人ともモテてたからお互いいい感じの風よけにもなってて。はは、懐かしいな」
「あのっ、…今日のお仕事はもう大丈夫なんでしょうか」

突然話の流れを切るように問うた千花を鏡越しにちらりと見ただけで、宮城は「…うん、大丈夫。もう颯真も待ち合わせ場所に向かってるはずだよ」と答えてくれた。

(不自然すぎた…。でも、お姉ちゃんと颯くんの昔話なんて聞きたくない……)

それからの車内は気を遣ってくれた宮城があれこれ違う話題を振ってくれたおかげで、あっという間に颯真との待ち合わせ場所に着いた。


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