激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
「働く?」
「うん。この前食事した時に、陽菜から職場の保育園で栄養士を募集してるって話を聞いたの」
「…保育園か」
何か考えるように顎に手を当てる颯真。
そんな彼を見て、自立したいと思う一心だった千花は、颯真が一体それをどう受け止めるか不安になってきた。
もしかしたら、父と同じように妻は家を守るべきと考えているかも知れない。
結婚当初から専業主婦になることが決められていたため、そんな話題が2人の間で出たことはなかった。
きっと千花が働きたいと思っているなんて、考えもしなかっただろう。
「しゅ、週に3日のパートタイムらしいの。詳しい時間とかお給料のことはまだちゃんと聞けてないんだけど、でも家事は今まで通りちゃんとやるし、今日みたいなパーティーがあるときはそっちを優先するようにする」
どうにか認めてほしくて縋るように早口になった千花の頬を、お風呂で温まった颯真の大きな手が包む。
「そ、颯くん…?」
「大丈夫。千花がやりたいと思ったことを反対なんかしないよ」
急なスキンシップにドキドキしながら隣に座る颯真を見上げると、優しくこちらを見つめる瞳に戸惑った顔をした自分が映っている。