激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

アルバイトの経験もなく、初めて社会に出て働くのは緊張の連続だったが、職場に恵まれ順調な滑り出しだった。

親友の陽菜がいてくれるのはもちろん、園長先生も栄養士の先輩もみんないい人ばかりで、世間知らずで慣れない千花にとても良くしてくれた。

月、水、金曜日の週に3日。時間は8時半から15時半。

朝8時に出勤して更衣室で調理用のエプロンを身に着け、左手の薬指から颯真と揃いの結婚指輪を外す。

手袋をつけるとはいえ子供たちに食べさせる食事を作るという衛生面と、万が一にも遊んでいる時に子供に当たって怪我をさせないようにという安全面の理由から、念には念をと初日から保育園にいる間は外すことにしていた。

簡単なミーティングをしてすぐに昼食の調理に取り掛かる。食育を大切にしている保育園らしく、季節の行事や旬の食材などを取り入れたメニューを園児たちに提供するのが一番大切な仕事。

調理が終わればそれぞれ簡単な事務仕事をこなし昼休憩。午後は手作りのおやつを用意し、それが終われば園児と一緒に遊ぶ時間も取れる。

食育用の絵本を読んであげることもあれば、子供と一緒になって園庭で走り回る日もあった。

1度は諦めた夢の場所で働けるのは楽しくて、千花はすぐに仕事に夢中になった。


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