激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
アルコールが入っているためお風呂は後回しにすることにして部屋着に着替え、ノートとペンを持ってリビングのソファでハロウィンのおやつの構想を練る。
毎年大体かぼちゃのプリンやさつまいものクッキーが主流だと前年の資料で読んだ。確かにオーソドックスで準備もしやすいが、年長クラスにはマンネリで物足りないかも知れない。
(かぼちゃを練り込んだスフレチーズケーキを1.5センチくらいにスライスして、チョコペンでジャック・オ・ランタンの顔を子供たちに書かせてあげたらどうかな。イベントっぽくもなるし、4歳5歳児クラスなら楽しく出来そう)
紫芋をつかって生クリームに色を付け、小さめのシュークリームに挟んでも可愛いかもしれない。
食材や予算との兼ね合いもあるため全部が採用になるわけではないとわかっているが、こうして子供たちのためにレシピを考えているとウキウキした気分になる。
季節の行事を旬の食材を使って楽しむ食育。園長の教育理念には千花も賛同するところが大きい。
保育園に通う子供たちの両親の多くは共働きで忙しい。食育にまで手が回らない親御さんから、ありがたいというお声を多数頂いている。
野菜嫌いを克服したひかりちゃんのように、1人でも多くの子供に食の楽しさを伝えたい。
千花は保育園で栄養士として働くようになって、ようやく自分がやりたいと思えることを見つけられた気がした。
働きだして3ヶ月ほど。まだまだ一人前の栄養士には程遠いかも知れないけど、自分を必要としてくれている職場で働く毎日はとても充実している。
そんな自分が嬉しくて、浮かんだアイデアを次々にイラスト付きでノートに書き留めていった。