激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
ようやくキスが解かれると親指で濡れた唇を拭われ、そのままソファへと押し倒された。
「…っ、颯くん」
首からネクタイを抜き取り、ワイシャツのボタンを性急に外しながら颯真が覆いかぶさってきた。
再び強引にも感じるようなキスをされ、千花もどんどん夢中になっていく。
「千花」
「んっ…」
「酒のせい?それとも、さみしかった?」
頭がぼんやりとする中、颯真に問われたことを必死に考える。
忙しい仕事だとはわかっている。
都市開発本部の部長という肩書はもちろん、将来会社を背負っていく彼の立場なら、家庭よりも仕事が大事になるのは仕方のないことだろう。
千花の父親も、家にいるよりも会社にいる時間のほうが圧倒的に長かったし、休日に遊んでもらった記憶もない。
だからこそ休日に仕事が入ろうと、結婚して半年の間に泊りがけの出張が3度もあろうと、不満を口に出したことはない。
それなのに…。
「さみし、かった…」
自分でも驚くほど素直に言葉が出てきて戸惑ったものの、これが正直な気持ちだった。