激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

会社の創立記念のパーティーでも、悪意の有無に関わらず何度も心無い言葉を平気で口にする人間を見た。自分に聞こえた範囲のものからは庇うことが出来ても、おそらく全てをシャットアウトすることは不可能に近い。

それでも千花を手放したくないと決断した以上、全身全霊で彼女を愛し守っていこうと心に誓っていた。

結婚して半年が過ぎ、最近ではかなり夫婦らしくなってきたと感じている。

結婚式と入籍を経てようやく千花が自分のものになったのを機に、箍が外れたように一気に距離を詰めた。

千花も料理など家のことなど懸命に尽くしてくれるし、ウィーンでの初夜以降、夜も誘えば拒まれることはない。

華奢で折れそうなほど細いのに柔らかく甘い身体。それを自分しか知らないのだと思うと、より一層愛しくてたまらない気持ちになる。

いつか千花との子供も欲しいとは思うものの、今はまだ2人きりの時間を堪能したい。周りは跡継ぎのことをアレコレ言いたいようだったが、こればかりは譲れなかった。

婚約期間4年という長い時間を我慢したのだ。同じくらいの時間2人きりの蜜月を堪能したってバチは当たらないと、颯真は真剣に思っている。

それに加え、最近千花が仕事を始めたということもあった。

自分との結婚によって一度は諦めさせてしまった夢。手放してしまったものを取り戻すように、最近の千花は生き生きしているのが目に見えてわかる。

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