LOVER BAND
「早く手を上に挙げて跪きなさい!じゃないと撃ちますよ!?いいんですか!?」

犯罪者であれ、好きな人。できれば撃ちたくない。そんな思いから麗奈の手が震える。それを見て、創はフッと笑った。

「……撃てるのか?君に僕が」

創はゆっくりと近付いてくる。麗奈は引き金を引こうとしたものの、震えた指先や腕では発砲できず、近付いてくる創に対し、「やめてください、来ないで」としか言えなかった。

創の鍛えられた体に、麗奈の持っている硬い銃口が当たった。この距離なら、いつ攻撃をされてもおかしくない。それでも、麗奈は体を動かせなかった。

「君は感情に振り回されることがある。そう前にも言ったよな?まあ、この状況なら振り回されていてくれた方が助かるんだが」

麗奈の手から一瞬にして銃が奪われる。そして、創に奪われた拳銃を頭に突き付けられた。

「創さん……」

冷たい目でこちらを見る彼を見て、麗奈は創が本当に組織の人間なのだと理解する。あの冷たい目は、何人もの人を殺め、数え切れないほどの罪に汚れた手を持った人間しか持っていない冷酷な目だ。そして自分はこれから創に殺される。
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