タツナミソウ
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「うーん。どうしよう。」
高校1年生の9月1日。昼休み。
私は机の上にある本を開いて悩んでいた。9月の25日に遠足というビッグイベントが控えているからだ。遠足ってそんなに大きいイベントかな?とみんな頭にはてなマークが浮かぶだろう。そこで声を大にして言いたい。遠足といえばお弁当だろ!彼女としては見落とせない所だろ!と。『はじめてのお弁当作り』という題名の本。昨日の学校帰りに駅前で買ってきた。途中でトイレに寄ったくらいには悩んで選んだ。穴が開いてしまうのではなかろうかというほどページを何回もめくって凝視した。実は私はお料理は少し、、いやかなり?苦手だ。お菓子作りは、計量とかをしっかりやって、時間をかければある程度できる。バレンタインの時は相当頑張った。でも嫌いではない。むしろ好きだからこそ、苦手でもこんなに頑張れるのかもしれない。お菓子はだいたい裏切らないからいい。だけどご飯系は違うと私は思っている。だって少々とか、火が通ったらとか、浸るくらいとか、人それぞれの感覚じゃない???あと、ひとつまみ。指の大きさによって違うやん。人それぞれの掴み方によってごそっと取れたり、ちょこっとしか取れなかったりするやん。なんで関西弁やねん。語尾だけやんにしたら関西弁だと思うなよとか突っ込まないでお願い。て感じ。ある程度違ったって大丈夫だよ。大雑把にやりなよ。って言われるけどなんか腑に落ちなくて、結局食わず嫌いのようになってしまっている。
「あー。誰か教えてくれないかなー。」
幸子は後ろの席に頭が付くぐらい後ろにのけぞって顔を本で隠して両手を指先までぴーんと伸ばした。定番に唐揚げとかに挑戦してみようなと悩んでいた時、いきなり目の前が明るくなった。
「うっわ。すげー顔してんじゃん。」
後ろの席の深澤君に本を取り上げられて顔を見られた。悩んでいたせいで眉間にシワが寄っていたらしい。
「なんなの!関係ないでしょ、返してよ!ちょっと!!」
本を取り返そうとしたら、上にあげたり左右に動かされたりして、なかなか掴む事ができない。ちょっとイラッとして、深澤君の机に左手をドンっと叩きつけて必死に右手を動かした。私の気持ちなんて知らないで、ほらほらとか言いながら本をゆらゆらさせているのに尚更腹が立って、深澤君の右肩を強く掴んで自分に引き寄せた。本に夢中だったから、いつもより戸惑った。気がついた時には深澤君の顔があと数センチの所にあった事に。
「うーん。どうしよう。」
高校1年生の9月1日。昼休み。
私は机の上にある本を開いて悩んでいた。9月の25日に遠足というビッグイベントが控えているからだ。遠足ってそんなに大きいイベントかな?とみんな頭にはてなマークが浮かぶだろう。そこで声を大にして言いたい。遠足といえばお弁当だろ!彼女としては見落とせない所だろ!と。『はじめてのお弁当作り』という題名の本。昨日の学校帰りに駅前で買ってきた。途中でトイレに寄ったくらいには悩んで選んだ。穴が開いてしまうのではなかろうかというほどページを何回もめくって凝視した。実は私はお料理は少し、、いやかなり?苦手だ。お菓子作りは、計量とかをしっかりやって、時間をかければある程度できる。バレンタインの時は相当頑張った。でも嫌いではない。むしろ好きだからこそ、苦手でもこんなに頑張れるのかもしれない。お菓子はだいたい裏切らないからいい。だけどご飯系は違うと私は思っている。だって少々とか、火が通ったらとか、浸るくらいとか、人それぞれの感覚じゃない???あと、ひとつまみ。指の大きさによって違うやん。人それぞれの掴み方によってごそっと取れたり、ちょこっとしか取れなかったりするやん。なんで関西弁やねん。語尾だけやんにしたら関西弁だと思うなよとか突っ込まないでお願い。て感じ。ある程度違ったって大丈夫だよ。大雑把にやりなよ。って言われるけどなんか腑に落ちなくて、結局食わず嫌いのようになってしまっている。
「あー。誰か教えてくれないかなー。」
幸子は後ろの席に頭が付くぐらい後ろにのけぞって顔を本で隠して両手を指先までぴーんと伸ばした。定番に唐揚げとかに挑戦してみようなと悩んでいた時、いきなり目の前が明るくなった。
「うっわ。すげー顔してんじゃん。」
後ろの席の深澤君に本を取り上げられて顔を見られた。悩んでいたせいで眉間にシワが寄っていたらしい。
「なんなの!関係ないでしょ、返してよ!ちょっと!!」
本を取り返そうとしたら、上にあげたり左右に動かされたりして、なかなか掴む事ができない。ちょっとイラッとして、深澤君の机に左手をドンっと叩きつけて必死に右手を動かした。私の気持ちなんて知らないで、ほらほらとか言いながら本をゆらゆらさせているのに尚更腹が立って、深澤君の右肩を強く掴んで自分に引き寄せた。本に夢中だったから、いつもより戸惑った。気がついた時には深澤君の顔があと数センチの所にあった事に。