タツナミソウ
教室の窓の下枠に肘をつき両手のひら顔をのせて、なんとなく遠くを眺めていた。
太陽が登りきって、ちょっと私に近づいてきた。

お腹が空いて、お母さんの作ってくれたお弁当の他に、購買で売ってる唐揚げ棒を食べたからだろう。
太陽が怒って、ジリジリしている。

袖のボタンを外し捲り上げ、髪をさっとくくって対抗する。スカートを2回折り曲げ、膝を見せびらかす。これで完璧だ。

隣の席の亮太はうつ伏せになり机とにらめっこしている。
完全に負けてしまっている。

よし私が元気付けてやろう。

「ねえ亮太!カルネアデスの板って知ってる?」

「何それ?笑 また心理テストかなんか?知らないけど、俺は必ずチコを幸せにするよ。」


今度は私が負けた。




チリ、チリリリリリリ____________。


カチッ。




いつから使っているのかわからない目覚まし時計で目覚める。

「ああ。またこの夢。」
濡れた枕に顔を擦りながらポツりと呟く。
もう10年も経つのに。どうして忘れられないのだろう。
< 2 / 122 >

この作品をシェア

pagetop