タツナミソウ
「幸子です。
メールありがとう。こちらこそ、いきなりチョコ渡してごめんね。」

人差し指で送信ボタンを押した。
ベットの上で大の字にうつ伏せになりながら、両手足をバタバタさせた。
そっけなかったかな。でも気があると思われたくないしな。でもでも、もしかしたらもっと話せるチャンスだったのに、これで返事こなかったらどうしよう。舞い上がっていた気持ちは一気に地面のもっと下に行った。私が飛行機を操縦する人だったらきっと大変では済まされないくらい大変な事になっているだろう。

仰向けになり、天井の電気を見つめた。あんたは輝いているだけで好かれるんだからいいよね。と八つ当たりをして、携帯を何度もパカパカして開いたり閉じたりした。

携帯くんの開閉音と時計くんが、カチカチ合奏していた。時計の針がピッタリ重なって、もう寝ようと諦めていた時、携帯くんが音を外した。その瞬間私はカエルになったかのように飛びついた。
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