タツナミソウ
帰りのホームルームで先生が言った。

「じゃあ、皆んな〜！ある程度したら帰れよ〜」

先生が教室を出て、みんなが椅子をガタガタさせる音が響いている教室の中。私は自分の心臓の音がうるさくて仕方なかった。

教室の中で話しかけていいのか、1人でいた方がいいのか、出て誰もいない所に行った方がいいのか、どれがいいのだろう。
黙っている事もできなくて、とりあえずリュックを持ってめぐみの方に向かった。

「ねえ。どうしよう！」

誰にも聞こえない様に、めぐみの耳元で右手を口元に添えながら言った。

「どうも何もはやく行けよ！」

めぐみは幸子の背中をバシッと叩いて亮太の方向に押した。よろめいて、前の机に手をついた。後ろを振り向きめぐみの方を見て、頷いた。
下を向いて「よし！行こう！」そう思って歩き出そうとした瞬間。

_______________________ドンッ。

よく前も見ずに歩き出してしまったから、誰かにぶつかってしまった。

「ごめん、、」

上を向いた瞬間、時が止まった。

あと数十センチのところに亮太がいたから。

亮太の瞳に映る自分の姿がなんだか気持ち悪くて恥ずかしくて目をそらした。
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