タツナミソウ
「一緒に、、帰れる?」

亮太が右耳を触りながら言った。

「う、うん!行こっか!」

恥ずかしいのは私だけじゃなかったのかなと感じたのが勘違いじゃないといいなと思った。
リュックの左右の紐をどちらも強く握って歩き始めた。靴を履きかけるとかいつもやる事でさえ緊張して亮太の背中をチラチラ確認した。
私の家まで1キロもない道を半分くらい過ぎた時、亮太が口を開いた。

「あのさ、、。これ、渡したくて、今日誘ったんだ」

そう言って差し出したのは、茶色い紙袋だった。

「あ、ありがとう。これ開けていいの?」

「うん。はずいから歩きながらな」

さっきより少し歩くスピードが速くなった亮太についていきながら、紙袋の中に入ったピンク色のビニール袋を開けた。
ビニール袋を開けると、綺麗なハート型の黄色のキャンディーが入っていた。
あれ?キャンディーの意味って、、、。
少し前を歩いている亮太の方を見て立ち止まった。着いて来てないのに気がついたのだろう。亮太も足を止めた。

「俺、こーゆーの何あげたらいいかわかんなくて、嫌いじゃなかった?」

「や、嬉しい!ありがとう!!これ可愛いね。何味??」

そう聞くと、亮太は顔を半分だけ見せて右耳を触りながら口をとんがらせて小さな声でつぶやいた。

「レモン。なんか、ほら、幸子っぽいかなって」

耳を真っ赤にして言うから私にもうつった。
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