タツナミソウ
「にゃ、、にゃんにゃの。」
頬を掴まれているから変な言葉遣いになってしまった。2人で笑い合って、部屋中が黄色になった。ずっとこの時間が続けばいいのに。そう思った。
台所に立ち、料理をし始めた。
その後ろ姿を亮太が頬杖をつきながら見つめて、まるで本当の新婚さんの様だった。
「あれ?チコ?」
亮太が何かに気づいて立ち上がり、少し大きな声で話しかけた。
びっくりしてしまい、包丁を思い切りまな板に叩きつけて部屋中にガンだという音が鳴り響いた。
「なに、びっくりした。」
後ろを振り返り手を止めた。
味噌汁を作るための鍋の中を覗き込んだ亮太を幸子は不思議そうに見つめながら言った。
「まだ何もしてないけど、どうした?」
お鍋の中には、まだ出汁を取るための鰹節と昆布が入っているだけ。しかも、ズボラな性格だから、ザルで取るのがかったるくて、お茶だしパックの中に鰹節を入れている。顆粒出汁ももちろん使うけれど、時間がある時はこうする。この2つが踊っている姿を見るのが割と好きだからだ。高校生の時に深澤君と出会わなければ、こんなに料理が上手くなる事もなかったかもしれない。でも、亮太は割とキッチリやりたいタイプだから、こんな邪道な手を使わないでしっかりやるんだろうな。
「お茶だしパックでやってるの。こんなズボラなの嫌だった?これも深澤君に教えてもらった技なんだけど、、」
鍋の中をのぞいている亮太の顔を伺いながら言った。すると、びっくりしたようなとぼけた顔をして亮太が
「え?や、どこがズボラなの?この歳で出汁から取る人なんてなかなかいなくない?それでびっくりしたんだよ。」
「そりゃね、あの時から10年も経ってるからね笑 出汁も取る歳になったのよ?ていうか、私当時から亮太に作ってたやつは出汁取ってたけどね??気づいてなかったんだ。」
呆れられてなくて良かったとホッとして、少し意地悪を言ってしまった。
「ああ。まあそうだよな。てかあの時から本格的だったんだな。」
「うん。愛が詰まってたからね?」
首を斜めに傾けながら言った私を見て、亮太が恥ずかしそうに耳を触っていた。でもいきなり真剣な顔になった。
「それってさ、深澤に教えてもらったやつだろ?やっぱちょっと嫉妬するわ。俺、実はさ最初あいつの事嫌いだったんだよね、その後は、いいやつだって知って仲良くはなったけどさ、チコが絡むとなんかモヤモヤは取れなかったわ。今更だよな、こんな事言ってもさ」
亮太がそんな事思っているなんて知らなかった。複雑だけど、正直嬉しい気持ちが強い。
「でもさ、小学生の時の調理実習とかやばくなかった??」
せっかく感動していたのに、痛い所を突いてくる。さっきの仕返しだろう。亮太も負けじと、ニヤッしながら顔を覗き込んできて言った。
懐かしいねと語り合いながら、手を動かし始めた。亮太はそれを隣で見守っていた。この姿を知らない人が見たら、私達は普通のカップルとか普通の夫婦に見えるのかな?そんな事を考えられる事が幸せだと感じた。
頬を掴まれているから変な言葉遣いになってしまった。2人で笑い合って、部屋中が黄色になった。ずっとこの時間が続けばいいのに。そう思った。
台所に立ち、料理をし始めた。
その後ろ姿を亮太が頬杖をつきながら見つめて、まるで本当の新婚さんの様だった。
「あれ?チコ?」
亮太が何かに気づいて立ち上がり、少し大きな声で話しかけた。
びっくりしてしまい、包丁を思い切りまな板に叩きつけて部屋中にガンだという音が鳴り響いた。
「なに、びっくりした。」
後ろを振り返り手を止めた。
味噌汁を作るための鍋の中を覗き込んだ亮太を幸子は不思議そうに見つめながら言った。
「まだ何もしてないけど、どうした?」
お鍋の中には、まだ出汁を取るための鰹節と昆布が入っているだけ。しかも、ズボラな性格だから、ザルで取るのがかったるくて、お茶だしパックの中に鰹節を入れている。顆粒出汁ももちろん使うけれど、時間がある時はこうする。この2つが踊っている姿を見るのが割と好きだからだ。高校生の時に深澤君と出会わなければ、こんなに料理が上手くなる事もなかったかもしれない。でも、亮太は割とキッチリやりたいタイプだから、こんな邪道な手を使わないでしっかりやるんだろうな。
「お茶だしパックでやってるの。こんなズボラなの嫌だった?これも深澤君に教えてもらった技なんだけど、、」
鍋の中をのぞいている亮太の顔を伺いながら言った。すると、びっくりしたようなとぼけた顔をして亮太が
「え?や、どこがズボラなの?この歳で出汁から取る人なんてなかなかいなくない?それでびっくりしたんだよ。」
「そりゃね、あの時から10年も経ってるからね笑 出汁も取る歳になったのよ?ていうか、私当時から亮太に作ってたやつは出汁取ってたけどね??気づいてなかったんだ。」
呆れられてなくて良かったとホッとして、少し意地悪を言ってしまった。
「ああ。まあそうだよな。てかあの時から本格的だったんだな。」
「うん。愛が詰まってたからね?」
首を斜めに傾けながら言った私を見て、亮太が恥ずかしそうに耳を触っていた。でもいきなり真剣な顔になった。
「それってさ、深澤に教えてもらったやつだろ?やっぱちょっと嫉妬するわ。俺、実はさ最初あいつの事嫌いだったんだよね、その後は、いいやつだって知って仲良くはなったけどさ、チコが絡むとなんかモヤモヤは取れなかったわ。今更だよな、こんな事言ってもさ」
亮太がそんな事思っているなんて知らなかった。複雑だけど、正直嬉しい気持ちが強い。
「でもさ、小学生の時の調理実習とかやばくなかった??」
せっかく感動していたのに、痛い所を突いてくる。さっきの仕返しだろう。亮太も負けじと、ニヤッしながら顔を覗き込んできて言った。
懐かしいねと語り合いながら、手を動かし始めた。亮太はそれを隣で見守っていた。この姿を知らない人が見たら、私達は普通のカップルとか普通の夫婦に見えるのかな?そんな事を考えられる事が幸せだと感じた。