タツナミソウ

つめたっと言いたいのをグッとこらえて、ハンカチで顔を拭いた。心の中でその男子を睨みつけてやった。
すると、隣にいためぐみが机をバンっと叩いて立ち上がった。

「ねえ、顔にかかったんだけど！ハンカチないからってやめてよ！亮太！」

めぐみの視線の先をたどるとそこには、クラスいちのお調子者の亮太がいた。「うるせーよ。めぐみ。」そう言って、めぐみに向かってわざと水をかけた亮太がとてもキラキラして見えた。でも自分とは交じり合わない存在だろうな。

「鍋でお米炊く必要ってあるのかな？」

めぐみが私の顔を覗き込みながら話しかけてきた。私も正直そう思っているけど、男子がいる手前なかなか言えなくて、顔をぎゅっと中心に寄せて精一杯気持ちを伝えた。だけど届く事がなく、めぐみは私の顔を見ながら首をかしげた。

「んなの、うめーからに決まってんだろ。」

向かえにいた亮太が私達に言った。続けて、「めぐみにはわかんねーかもしれないけどな。」と嫌味をつけて。なんだか心がぎゅっとなって真ん中がじわーっと熱くて痛くなった。