タツナミソウ
これは、、、いい流れなのではないか?ああ感じのムード?今日の下着何色だったっけ?そんな事を考えながら目を閉じて唇をうーっと突き出した。

片手でむぎゅっとほっぺを掴まれ目を開けた。

「なにしてんの。もう遅いから寝よ?」

違ったのか。という動揺と恥ずかしさがバレない様に唇を口の中にキュッと押し込んで細かく頷いた。

「まあ?よく考えたら、私たちキスできないし??だからだよね?」心の中でそう励ます自分がとても寂しく感じたけど、ちょっぴり嬉しかった。

赤と青の2つ並んでいる歯ブラシを見て嬉しくてずっとこのままがいいなと思った。
歯ブラシを手に取り、磨き始めて鏡を覗いた時に自分がコンタクトを外していないのに気がついた。リビングに行き鞄の中を探すが、こんなにも大荷物なのに忘れ物があったことに気がついた。

「あれ、、、。忘れちゃったな。どうしよう。」

コンタクトの保存ケースを忘れてきてしまった。コンビニに買いに行ってもいいけど、お風呂も入ってしまったし少し面倒だなと思っていると、後ろから肩を叩かれた。振り返ると亮太の手には新品の保存ケースが握られていた。

「え?何で?亮太ていうか翔平君?も目いいじゃん。」

「この間近づいた時に、おもい出したんだよ。コンタクト入ってるって。チコの事だからうっかりするんじゃないかなーて。」

「ああ。そうなの!!それで翔平君に頼んでくれたんだ!さすが亮太!できる男ね。」

「お、おう。歯ブラシ咥えながら危ないから、洗面所もどろ。」

頷き、亮太からコンタクトケースを受け取り、メガネに変えた。メガネの方が一枚挟んで亮太を見ているからドキドキが溢れ出なくていい気がした。亮太から、自分と同じ匂いがして、鏡には私の肩に触れるか触れないかのギリギリの距離に亮太がいてニヤニヤしてしまった。

「なに?どうしたの?」

本気で心配したような顔をして亮太が尋ねてきた。
私のにやけ顔は相当怖い顔をしているらしい。例えるなら、よくアニメとかである様な顔を真っ赤にして、ツノが2本生えていて、牙があるような、あれ。らしい。
亮太もひさしぶりに見てびっくりしたんだろう。

「ううん。なんでもないよ笑」

歯磨き粉を吐き出して、水で全部流した。ちなみにメガネでもコンタクトでも、やっぱりドキドキは変わらなかった。
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