タツナミソウ
「それでですね、仲が深まった所で、亮太さんに質問があります。」

立ち止まって、亮太の両手を握ってそう言った。

「なに?」

「今日ってなんの日かわかるかな?まあわかんないと思うけどね〜。」

正直期待は全く、1ミリもしていなかった。男の子はそういうの気にしないって言うし、、、。黙り込んでいる亮太に答えを言おうとした時、亮太がぎゅっと手を握り返してきた。

「△○△○、、、だろ?」

「ん?なに?聞こえなかった」

「だから!1ヶ月!だろ?覚えてるよそれくらい。」

最初何を言ってるのかわからないくらいのか細い声で話していた亮太が、何かを振り切ったかの様に大きな声で言うからびっくりで、嬉しさが遅れてきてしまった。
笑う私に対して、「なんなんだよ。笑うなよ。」と右耳を触りながら、でも左手は私の手を握ったままの亮太がぶつぶつ言っていた。

そして、ポケットをゴソゴソし出して、私の手の上に「ん。」と出した。
そこには、お菓子の包み紙で折ったツルが置かれていた。1ヶ月記念日で何をしたらいいかわからなくて、思いついたのがこれだったらしい。亮太はいつもお菓子の包み紙で折り紙をしている。
周りのちょっとませた友達は、お揃いのなんかとか、ブレスレットとかもらったりしてるって聞いたけど、そんな物より、私の事を想って折ってくれたと言うこの小さなツルが何よりも価値のあるもので、とっても嬉しかった。
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