タツナミソウ
「え?なに?そんなに嫌だった?」

亮太が怖い顔になって私に言ってきた。
かなり喜んでいたから、なんの事なのかわからないと眉間にシワを寄せてしまった。

「え?私、今すっごい感動してるんだけど?伝わってない?」

「いや、嘘だろ。やっぱこんなん嫌だよな。スッゲー怖い顔してたし。」

まてまてまて。どう言う事だ?私さっきまですっごい感動して、どんな高い物よりも嬉しいって思ってたよね?あれ嘘?と自分でも考えてしまうほど、真面目な顔で亮太が話した。

不機嫌になった亮太はまた私の少し前を歩き続ける。さっきまでいい雰囲気だったのによくわからない。結局想いを伝えても何にも変わらなかった。それどころか悪化してしまった。泣いちゃダメ。そう思うほど溢れ出てしまいそうになる物を必死で隠すように空を見上げた。雲ひとつない、真っ青で真っ直ぐな空を見て、「貴方は今日元気なのね?だったら少し分けてくれても良くない?」そう思ってしまうほど、私の心の真ん中は曇り空だった。

小さい裏道があと数メートルで終わってしまいそうになった時、亮太が立ち止まった。いきなり止まったから、亮太のリュックにぶつかってしまった。

「イタっ、、、。なに?どーした?」

上を見上げた瞬間、目の前が亮太の顔でいっぱいになった。何が起こったのかわからなくて固まってしまった。青い空がバックに見えた時、亮太の顔が真っ赤なのがわかった。きっとそれがうつって私の顔も真っ赤になってしまったのだろう。ほっぺが熱くて落ちてしまいそうだ。目があった亮太が

「あのさ、嫌だった、、?」

そう言った。「嫌とか、そんなのあるわけないじゃん!」食い気味に否定した。
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