タツナミソウ
「怒った顔の方がさっきの顔より可愛んだけど」

ぷはっと笑ってから亮太がそう言うと、なんだか目の前がキラキラした。
てか!さっきの顔ってなに?そんなに変な顔してないしなんなんだろ、、、。
まって、それより可愛いって言った?まってまって、初めて言われたんだけど。嬉しすぎる!!
百面相をしている私をみて、亮太が目を細めて微笑んだ。

亮太は私の頭をポンっと叩き、撫でながら前髪をサワサワしていた。そして、前髪をかき分けて、おでこにキスをした。

恥ずかしいけど嬉しい気持ちの方が強くて、口がぎゅっと梅干しを食べたおばあちゃんの様になっていると思う。そしてニヤけてしまった。あー。絶対今ニヤけすぎてへんな顔だよな。不安になりながら亮太の顔を見た。

亮太は首を傾げて目をキョロキョロさせて顔に手を当てて何かを考えている。全然目が合わない亮太の周りでパタパタしてみたけど、全然視界に入らないらしい。諦めて、足元にあった石ころを蹴って遊んでいた時、亮太が「あ!もしかして!」そう叫んだ。その声にびっくりしてどれが蹴っていた石かわからなくなってしまった。

「なに?どうしたの?」

「もしかしてさ、さちこのその顔って、、」

そう言った後、私の手を握ってぐっと引っ張り、頬に手を当てて顔を近づけてキスをした。

「やっぱり、、、。もしかしてその顔って恥ずかしいっていうかさ、ニヤけてる顔?」

、、、、、は?

よく聞くと、私はこの1ヶ月、亮太といる時にすっごい怖い顔をしていたらしい。「例えるなら、よくアニメとかである様な顔を真っ赤にして、ツノが2本生えていて、牙があるような、あれ。」と亮太は言った。
しかも、その顔をする時が手を繋いだ後とかキスをした後だったから、亮太は私が嫌がっていると思っていたと言う。だから、メールとかもそっけなかったと。

なんだよ、、。私達すごい勘違いですれ違ってたんだ。やっぱり思ってる事って言わないと伝わらないんだな。
でも、よかった。すれ違ったまま、勘違いしたままで喧嘩とかして別れるとかならなくて。はじめての事って難しいな、、。
これからも、亮太と2人でいろんな初めてを経験していきたいな。

いつもの倍くらいの時間がかかって着いた駅の後ろ側には、パステルカラーで恥ずかしそうな空が広がっていた。その色がうつってさまって、私もパステルカラーになっていた。

2回目のキスはイチゴの味がした。
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