タツナミソウ
「今日は何したい?」
テーブルに置かれた、私のメモ帳を指差しながら亮太が言った。
私はメモ帳を取り、「どれがいいかな」と文字をなぞりながら選んだ。
「これ!」
そう指をさした先には、「部屋でビデオを見ながらまったりする。」と書かれていた。
そこから2人で部屋着のまま、レンタルビデオ店に行って、コンビニでお菓子を買った。亮太の好きな梅のお菓子を見せると、彼は一瞬固まってから「よく覚えてたね。」そう言った。きっと今でも私が忘れていなかった事に驚いたのだろう。「あたりまえでしょ?」ドヤ顔をすると、ちょっとうざいと言われてしまった。
帰り道の最後の角を曲がった所で気づいてしまった。「あ。」約束、破ってしまった。すっかり忘れてしまっていた。でも、これで近所なら意外と大丈夫という事がわかったけど、やっぱり破ってしまったという罪悪感で言いにくい。私が隠していればバレないだろう。そんな風に考えていた。
家に帰ってからは、カーテンを閉めきって、部屋を真っ暗にして映画を見始めた。コッテコテの恋愛映画とアクション系を交互に。
亮太の肩に寄りかかって、手を繋ぎながら。
その中の恋愛映画のヒロインの女の子が、主人公の男の子に恋をして、どんどん可愛くなっていくという物語があった。最初は太っていて眼鏡で髪もパサパサで前髪も目にかかっていて、いつも下を向いて歩いている女の子。男の子に出会って、この人の隣を歩きたい一緒にいたいって思って、ダイエットとかお化粧とかを頑張って、彼を振り向かせるというもの。その健気な姿がとっても可愛かった。
「この子好きな人のために、こんなに頑張れるって素敵だね?」
亮太に問いかけた。
「でもさ、ありのままの自分を好きになってもらわないでどうするんだろうね。」
そうだね。とかすごいよね。とかそんな感じの事が返ってくると思っていた。予想とは違う言葉が来て返事に困ってしまったから、軽く頷いてテレビに視線を戻した。
「あ、でもこのワンピースかわいいね。」
ヒロインの女の子が、男の子とはじめてお出かけする前日の服選びのシーン。花柄のワンピースとドット柄のワンピースを持って、鏡の前で合わせていた。
「やっぱ、亮太花柄のワンピース好きだよね?私昨日着てたのにな〜。」
ちょっと拗ねた感じで言ってみた。
「え、や、俺のために着てくれたの?や、すっごい似合ってたよ。可愛かった。」
動揺しながら答える亮太が愛おしかった。
手を強く握って、「そうでしょ?」と首を斜めにして微笑んだ。
でも、楽しい時間はあっという間に終わってしまうものだ。
テーブルに置かれた、私のメモ帳を指差しながら亮太が言った。
私はメモ帳を取り、「どれがいいかな」と文字をなぞりながら選んだ。
「これ!」
そう指をさした先には、「部屋でビデオを見ながらまったりする。」と書かれていた。
そこから2人で部屋着のまま、レンタルビデオ店に行って、コンビニでお菓子を買った。亮太の好きな梅のお菓子を見せると、彼は一瞬固まってから「よく覚えてたね。」そう言った。きっと今でも私が忘れていなかった事に驚いたのだろう。「あたりまえでしょ?」ドヤ顔をすると、ちょっとうざいと言われてしまった。
帰り道の最後の角を曲がった所で気づいてしまった。「あ。」約束、破ってしまった。すっかり忘れてしまっていた。でも、これで近所なら意外と大丈夫という事がわかったけど、やっぱり破ってしまったという罪悪感で言いにくい。私が隠していればバレないだろう。そんな風に考えていた。
家に帰ってからは、カーテンを閉めきって、部屋を真っ暗にして映画を見始めた。コッテコテの恋愛映画とアクション系を交互に。
亮太の肩に寄りかかって、手を繋ぎながら。
その中の恋愛映画のヒロインの女の子が、主人公の男の子に恋をして、どんどん可愛くなっていくという物語があった。最初は太っていて眼鏡で髪もパサパサで前髪も目にかかっていて、いつも下を向いて歩いている女の子。男の子に出会って、この人の隣を歩きたい一緒にいたいって思って、ダイエットとかお化粧とかを頑張って、彼を振り向かせるというもの。その健気な姿がとっても可愛かった。
「この子好きな人のために、こんなに頑張れるって素敵だね?」
亮太に問いかけた。
「でもさ、ありのままの自分を好きになってもらわないでどうするんだろうね。」
そうだね。とかすごいよね。とかそんな感じの事が返ってくると思っていた。予想とは違う言葉が来て返事に困ってしまったから、軽く頷いてテレビに視線を戻した。
「あ、でもこのワンピースかわいいね。」
ヒロインの女の子が、男の子とはじめてお出かけする前日の服選びのシーン。花柄のワンピースとドット柄のワンピースを持って、鏡の前で合わせていた。
「やっぱ、亮太花柄のワンピース好きだよね?私昨日着てたのにな〜。」
ちょっと拗ねた感じで言ってみた。
「え、や、俺のために着てくれたの?や、すっごい似合ってたよ。可愛かった。」
動揺しながら答える亮太が愛おしかった。
手を強く握って、「そうでしょ?」と首を斜めにして微笑んだ。
でも、楽しい時間はあっという間に終わってしまうものだ。