タツナミソウ

12

いつもより1時間も早く起きてしまった。
目覚ましが鳴らないようにと携帯を開いた時、メッセージの通知音が耳に響いた。

「新着メッセージが届いています。」

画面にはそう表示された。頭の中には1人しか思い浮かばなかった。メッセージをもらって嬉しい相手は、、、。
でもこんなに朝早くに誰だろうか。と思いながら人差し指でそこをタップした。

「昨日は、冷たい態度とってごめん。舞ちゃん会社に送ってくから。ほんとごめんな。また店来てよ。奢るから。」

深澤君からだった。本当は謝らなくてはいけないのは私なのに、、、。深澤君は本当にいい人だ。いい人すぎて、いつも甘えてしまう。そんな自分がダメだと思いながらもやめられない。

でも、今メッセージが欲しい相手は彼じゃなかった。さっき頭の中に浮かんだのは、真っ青でわたあめみたいな美味しそうで綺麗な雲が散りばめられていたり、真っ赤になって太陽が眠ってしまうのを見送ったりしている、空のような彼だった。

「しょうがないから奢られてやるか!!笑
会社の前で待ってるね!」

可愛くない私は深澤君にこれだけ送って携帯を伏せた。天井をじーっと見ていると、端っこの方に黒いシミがあるのに気がついた。もう何年も住んでいるのに全然知らなかった。ずっと一緒にいたものも、何気なく見ていると気づかない事ってあるかもな。それなら気づかなかったとしても後悔しないように、伝えられることは全て伝えよう。私の全部を。過去に戻ったとしてもこうするだろうと思えるように。

「あと、私もごめんなさい。なんか、深澤君には甘えてしまうんだ。何をしても私とずっと友達でいてくれるって思い込んでるみたい。本当ごめんね。」

携帯を開き、まだ既読の文字が付いていないのを確認して追って送った。こんなに気持ちを素直に伝えられたのは初めてかもしれない。これも亮太に再会したからかな?それとも舞のあの姿を見たからかな?どちらにしても、私は今のこの私が結構好きかもしれない。
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