王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい
プロローグ
前世
2✳✳✳年。
「逃げろ!崩れるぞ!」
「きゃーー!」
「早く!」
人々は逃げまどい、叫び、悲鳴を上げている。
そんな中、手を繋ぎ、人混みを走り抜ける2人の少女がいる。
絶対に離さないとでもいうように、固く握り締めている。
街のあらゆる所で火の手が上がり、消防が消火活動をしているが、消してもすぐ別の建物が燃え始め、まるでいたちごっこできりがない。
その時、少女たちのすぐそばの建物が火に覆われ、崩れ落ちてきた。
「ごめん!桜だけでも生きて!」
茶髪の少女を押し、庇うようにした黒髪の少女に建物が押しつぶさんといわんばかりの勢いで落ちてきた。
「…ッ!ほのかー!」
その様子を呆然と見ていた桜は、儚げに微笑んだ親友が見えなくなった瞬間悲痛に叫んでいた。
____________________
これは、後にコッチの世界で『悪夢の日』と呼ばれる大災害である。
『悪夢の日』の被害は、
死者約16万6000人、行方不明者約3万4000人、
重症者約20万人、軽症者約40万人。
過去最高の大災害で、生きていた者の大半が誰かに庇われなかったら死んでいた運命だった。
あの日から6年後の春、桜はただ1人の親友ほのかの墓に来ていた。
「(どうか、ほのかが次の人生で幸せになれて
いますように…)」
次の瞬間、その願いに応えるかのように風が桜の花びらを舞い上げ、墓に輝く一筋の陽の光がさした。
その場から離れる刹那に桜の顔に浮かんだのは、哀しく、申しわけなさそうな、だがどこか嬉しそうな、そんな複雑な笑みだった。
「逃げろ!崩れるぞ!」
「きゃーー!」
「早く!」
人々は逃げまどい、叫び、悲鳴を上げている。
そんな中、手を繋ぎ、人混みを走り抜ける2人の少女がいる。
絶対に離さないとでもいうように、固く握り締めている。
街のあらゆる所で火の手が上がり、消防が消火活動をしているが、消してもすぐ別の建物が燃え始め、まるでいたちごっこできりがない。
その時、少女たちのすぐそばの建物が火に覆われ、崩れ落ちてきた。
「ごめん!桜だけでも生きて!」
茶髪の少女を押し、庇うようにした黒髪の少女に建物が押しつぶさんといわんばかりの勢いで落ちてきた。
「…ッ!ほのかー!」
その様子を呆然と見ていた桜は、儚げに微笑んだ親友が見えなくなった瞬間悲痛に叫んでいた。
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これは、後にコッチの世界で『悪夢の日』と呼ばれる大災害である。
『悪夢の日』の被害は、
死者約16万6000人、行方不明者約3万4000人、
重症者約20万人、軽症者約40万人。
過去最高の大災害で、生きていた者の大半が誰かに庇われなかったら死んでいた運命だった。
あの日から6年後の春、桜はただ1人の親友ほのかの墓に来ていた。
「(どうか、ほのかが次の人生で幸せになれて
いますように…)」
次の瞬間、その願いに応えるかのように風が桜の花びらを舞い上げ、墓に輝く一筋の陽の光がさした。
その場から離れる刹那に桜の顔に浮かんだのは、哀しく、申しわけなさそうな、だがどこか嬉しそうな、そんな複雑な笑みだった。
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