王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい
「そう、恐らく僕らはその国から狙われるように
なるだろうね。愛し子なんて、そこに居るだけで
相手にとって脅威となるのだから」
兄様はそう言って、確認するかの様にアルを見た。
「うんうん。正解だよ、ザライド。よく愛し子に
ついて調べたんだろうね」
偉い偉い。
アルは、兄様のプラチナブロンドの髪を優しく撫でた。
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
「それじゃあ、魔力操作をしてみようか」
ようやく今回の本題に入りそうだ。
それにしても、魔力操作だなんてどうするんだろう?
「魔力操作はどうするのですか?」
「んーとねー…こう…ぐわーって感じで」
!?!?
「ぐるぐるーってすると出来るよ」
「「……」」
あぁ…拝啓、お母様。貴女の従姉弟であるアルフェルドことアルは、天才肌な為、壊滅的に教師に向いていないようです。
「ま、まぁ…やってみようか、アンジュ」
「そ、そうですね、兄様」
えーと…ぐわーって感じで、ぐるぐるーってするんだよね…
って、どういうことよ!
もう全く意味が分からないし…
兄様はどうだろ?
「………」
こっそり兄様の様子を覗うと、兄様は目を閉じていて、一心に魔力操作をする事に集中しているようだった。
その立ち姿は、まるで何かの神聖絵のようで。
思わず今の状況を忘れて見惚れてしまった。
ゆっくりと、閉じられていた目が開かれていき、少し濃いめの紫色をした瞳が露わになっていった。
「……っ」
その瞬間、ようやく自分が息を詰めていた事に気づき、ゆっくりと息をついた。
「……?どうしたの2人とも?」
「あ…えっと…」
「いやぁ、ザライドが酷く神聖な何かに感じられ
てね。俺達2人は君に見惚れてたのさ」
「見惚っ…!?!?」
チラッとコチラを見たかと思うと、兄様は狼狽えて白い頬を赤く染めた。
あの兄様が…!!
照れてる、だと…!
「…~~っ!!」
「ア、アンジュ…?どうしたの?」
頬を赤く染めたままの兄様は、私の反応にアワアワして、更に狼狽えている。
そんな兄様が、もう…!!
「兄様、かわいすぎます!!」
私は兄様に向かって走って行き、勢いをつけて、ガバっと思いっきり抱き着いた。