王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい
まぁ、あれから何だかんだあって、大体30分後。私達はようやく第1目的地である高級菓子店に着いた。
高級菓子店とはいっても、ちょっと裕福な平民でも年に2回は買えるほどの値段のものもある、比較的良心的なお店だ。
店先には、名前の知らない色鮮やかな花々が咲いた鉢が置いてあり、玄関口はとても綺麗に掃除されていた。どうやらここの店主は相当のキレイ好きなようだ。
なんてそれっぽい分析を脳内でしていたところ、店の扉が唐突に開かれて人が出てきた。突然のことに驚き、思わず繋いでいた兄様の手をギュッと握り締める。
兄様は、そんな私を宥めるかのようにそっと手を握り返してきた。そのことで何故かホッと気が緩み、自然と視線を兄様にやっていた。
丁度こちらを見ていたらしい兄様とバッチリ目線が合い、どちらかともなく互いに微笑み合う。あっという間に2人だけの世界だ。
「まあまあまあまあ!!!なぁあんッッてっ、かぁわいらっしい子たぁちかしぃっら!」
ん????????
2人だけの世界をぶち壊すかのように、素晴らしいバリトンボイスで発せられたその言葉の羅列に、軽くスペキャ状態になった。
なかなかにキャラの濃い人がいる。
兄様と顔を見合わせてから、2人揃ってそっと声のした方向─店の玄関口へと視線を向ける。
するとそこには、つい先程、店の扉を開けて出てきた人が、私達双子を見てギラギラと目を輝かせながら堂々と立っていた。
風でたなびく長髪は何ものにも染まらぬ漆黒、知性を感じさせられる優しげな瞳は翠色で、細身ながら身体はよく引き締まっていて、日頃から鍛えているであろうことが窺える。
あえて見た目だけでいうならば、優しい爽やかなイケメンお兄さんって感じだ。
…まさか、この人がさっきの衝撃的な言葉を発したキャラの濃い人じゃないよね??
誰かどうか違うと言って欲しい。
だが残念ながら、これは見事にフラグだったらしい。
無事にすぐさま回収してしまった。
「貴ぁ方たちのこぉおっとよッ!なぁあッにかしぃっら?オレの店ぇぇに用でもぉあるぅっのッ?」
素晴らしいバリトンボイスで発せられる、時々妙な裏声混じりの話し方は、あの見た目優しい爽やかなイケメンお兄さんのものだった。
あまりにも特徴的すぎて二度見しそうだ。なんなら見た目と話し方の温度差で風邪引きそう。
しかも目当てのお店の店主だった。この情報量を短時間でどう処理したらいいのか。
世の中何が起こるか分からない。
そう思い、乾いた笑みをもらした。
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※お久しぶりです、僕です作者です。
約3ヶ月ぶりぐらいの更新ですね。
続きがどうなるのか分からなくて放置していたら、気付けばこんなに時間が経ってました。本当にすいませんでしたぁぁぁッッ!!(土下座)
次もいつ更新出来るか分からないです。なんなら急に出てきたキャラ濃い奴が誰なのかすら分からないです。果たして作者本人がこれでいいのだろうか。そんなことを考えている今日この頃。
(深夜テンションで書いてます。次の日は朝から大学ですね^a^)