王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい

教会

 
 お父様から私とザライド兄様の婚約について聞いてから1年も経過し、私たちは6歳になった。その間、いろんなことがあった。

 ザライド兄様が第2王子の側近候補に選ばれたのだ!さすが兄様。

 兄様は、その勤勉さと優秀さ、人柄、爵位の高さが完璧だからだと思う。

 
 ちなみに第2王子は私達と同い年で、ハチミツ色の髪、瞳は王族の証である翠色らしい。…らしいというのは、私はまだその姿を見たことがなく、使用人達がそう話していたのが聞こえたからだ。

 
 そして私は、淑女教育と通常教養を毎週3、4回、2時間ずつで学び始めた。

 魔力制御や魔法は、教会で洗礼・属性の確定を受けないと学ぶことができない。だが、お父様とお母様が言うには私と兄様は少なくとも9属性中4、5個の属性が使えるだろうとのことだ。

 普通の人は魔力自体がそこまで多くなく、生活魔法しか使えない。1、2個の属性が使えたらいい方だという。

 ……本当、DNAがハイスペックすぎて、チート並みで恐すぎる。こう思うの、転生から何度目だろう……。


 

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 今日はついに教会で洗礼を受ける。そのために、朝からドレスを着たり、髪を整えたり…といつもより丁寧に、丹念にされて大変だった。

 これ、デビュタントの時はもっと大変そう…。


 「アンジュ、準備はいいか?」

 「はい、お父様。」
 
 部屋を出るといつもよりきっちりとしたお父様とお母様、そしてザライド兄様がいた。

 おぉ…!さすが美形家族だな。

 お父様は、さりげなくお母様の色のでの刺繍がされている紺色のジャケットに、スラリとしたズボンを身に着けている。

 お母様は、碧色の大人可愛いエンパイアドレスだが、動きやすいデザインらしい。なんともお母様らしさを詰め込んだドレスだ。

 そしてザライド兄様は……ッ!

 クリーム色のジャケットにズボン、袖や裾には綺麗なスミレ色の糸の刺繍があり、兄様のカッコ可愛さが強調されていた。

 双子の兄で、前世16歳の精神年齢は年上なのに、思わずポーッと見惚れてしまう。


 ちなみに私は、クリーム色のプリンセスラインドレスに、濃い紫色の糸で花々や蝶などがバランスをとりながら刺繍されている。また、背中の方は少し大きめなリボンがついている。髪はメイドさん達が楽しみながら編み込んで、ハーフアップにしていた。

 そんな私を見てザライド兄様は、なんだか顔を赤くして固まっている。

 …ん?

 「ザライド兄様カッコいいですよ!ところで…
 大丈夫ですか?顔赤いですよ?」


 「う、うんっ。大丈夫だから…っ。」
 
 「それならいいですが…。」


 「さぁ、ザライド、アンジュ。そろそろ馬車に
 乗って行きましょうか。」

 パンっ、とお母様が手を叩いて言った。

 「そうだね。アリス、手を。」


 お父様はお母様の手を取り、エスコートして馬車に乗った。私と兄様はあまり背が変わらないので、手を繋いで行った。
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