バカ恋ばなし
翌日、私はK駅の近くにある写真店に行き、ウキウキしながら写ルンですを現像に出

した。

「1週間後に現像できるからね。」

「はい!お願いします!」

(1週間後ね!早く1週間後にならないかなー!どんなツーショットが撮れている

か、どんな笑顔をしているのか、カッコいい譲二君を写真で拝める!楽しみ楽し

み!)

ウキウキした気持ちを抑えながら私は写真店を後にした。

遂に1週間後が来た! 私は自転車のペダルを勢いよく漕ぎながらK駅前の写真店に

向かった。店主から現像した写真をニコニコ顔で受け取り、勢いよく自転車のペダ

ルを漕いで自宅へ戻った。2階にある自分の部屋まで階段を勢いよくかけ上り、入っ

てすぐに現像した写真を袋から全部取り出した。

現像した写真の中には、佳子と清子と一緒に撮ったものがほとんどだ。そして問題

のツーショット写真はどうなっているか……。

「あった!!これ、めっちゃ良く撮れている!!」

嬉しさのあまり、私は思わず声を出して喜んだ。譲二君と私のツーショット写真の

出来は我ながら最高だった。譲二君は正面を向いて想像通りとても素晴らしく爽や

かな微笑みを浮かべていた。私は……譲二君側に少し傾くような姿勢で飛び切りの

笑顔で写っていた。思いっきり口角を上げた甲斐があった。

私は背が低い上に顔が結構大きく、写真映りが悪いので写真を撮るのはあまり好き

ではない方だが、今回のツーショットは思わず自画自賛する程の最高の映りだっ

た。

次の日、佳子と清子に撮った写真たちを見せた。ツーショット写真を見て佳子と清

子がそろって呟いた。

「うわぁー……丸ちゃん、これ思いっきり営業用スマイルじゃん。」
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