バカ恋ばなし
16歳、まさに青春を満喫していた時代!このときから私は、今まで全く興味なかっ

た少女漫画を愛読するようになった。片想いから両想いになり、紆余曲線がありつ

つも結ばれて運命のパートナーとなる完全ハッピーエンドものや、両想いで誰もが

うらやむカップルだが、彼氏が不治の病で倒れてしまい、でも彼氏のために一途な

恋を貫き通していく悲恋ものなど、ロマンチックな少女漫画をいろいろと読み漁

り、主人公の女の子へ勝手に感情移入していた。そして少女漫画を通して、私はロ

マンチックな恋の妄想をどんどん膨らませていった。

「いつか私も、譲二君とこんな恋愛ができるといいなあ……」

漫画を読みながら譲二君との将来(結婚)を妄想してはウキウキしていた。そして

恋の熱はだんだん強くなっていくのを感じていた。そして漫画で読んだ感想や憧

れ、勝手に膨れ上がっていく恋の妄想について、ニヤニヤしながら佳子や清子たち

に話しまくり、勝手に自己満足に耽っていた。

朝の『ワンダフルタイム』はいつも上手くいくわけではなかった。時折ちょっとし

た邪魔が入るのだ。それはいつも彼と一緒に登校しているお友達二人と、多分私と

同じく譲二君を狙っているであろう二人の“ライバル”の存在だ。

まずは譲二君のお友達二人だ。譲二君はいつもこのお友達と一緒に登校している。

そしてこのお友達二人は背格好がほぼ一緒、そして共に眼鏡をかけているので、私

達は彼らを「1号君」「2号君」と密かに呼んでいた。

まずはお友達「1号君」。彼の身長は推定170cm前後くらい、角刈りに近い短髪

で、色黒でいつもブラウンの鼈甲縁の眼鏡をかけており、譲二君とは対照的に目鼻

立ちがはっきりとしていて誰にでも話しかけそうな、明るい雰囲気を持っていた。

そして若干やらしい目つきをしていた。彼は毎朝譲二君の傍にいて、色々話しかけ

ていた。この1号君は、車両に乗り込んだ時たまに向かい合わせになったり、乗り込

んだ勢いに紛れて譲二君と私の間に割り込んできたりしていた。その行為は多少わ

ざとらしさと悪意を感じていた。彼は私が譲二君に好意を持っていることを知って

いるのか、それか「あいつ俺のこと好きなんだぜ。」と、勘違いしているのか。

「俺にはお見通しだぜ!」と言わんばかりのニヤニヤした顔をしてこっちを見てい

るときがあった。私は1号君にはこれっぽっちも興味なんか持っていないので、眼中

になかった。
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