バカ恋ばなし
そしてもう一人のお友達「2号君」(まるで仮面ライダーみたいだ。)彼も推定身長

170cm前後くらいで、大きな黒縁眼鏡をかけており、ショートボブな感じの髪

型の、まじめな大人しい感じで清潔感があった。彼は常にではなく、週に2~3回程

度譲二君、1号君と朝駅ホームで一緒にいるのを見かけた。この2号君は彼女がいる

らしく、土曜日の午後、彼女らしき子と一緒にK駅前を歩いているところを何度か見

かけたことがあった。2号君は1号君ほどではないが、たまに同じ車両に乗り込むと

き、勢いなのか私と譲二君の間に割り込んだりすることがあった。彼の場合は故意

ではなく偶然だろう。多分私が譲二君に片想いをしていること自体気付いていない

と思う。だから割り込まれてもそんなに悪意を感じなかった。

顔立ちとスタイルの良い爽やかイケメン譲二君に好意を抱いているのは私や清子だ

けではない。当然他校の女子も狙っていた。中でもこの二人は特に目立っていた。

まず一人目は、悪名高く柄悪い女子が集まるY女子高校に通っている女子で、17

0cm以上の長身があり、顎までの長さのおかっぱヘアで体型はやや太めで肩幅が

広く、ガッシリとしていた。その様相は女装したプロレスラーだった。そして目が

異様に大きくギョロっとしていて顔中茶色くて不定形なそばかすが散りばめられて

いた。私たちは彼女を「ギョロ」と呼んでいた。ギョロはいつもホームから譲二君

へギョロついた眼で熱い視線を送っていた。電車がホームに到着してサイレンが鳴

り、車両のドアが開くと、まるで試合開始のゴングが鳴ってリングへ向かうよう

に、譲二君めがけてドスドスと車両の中に入り突進してきた。体格がガッシリして

いるので突進してくるギョロはとても迫力があった。でも、私は体格では多少負け

るが(私は身長155cm体重55kgのポッテリ小デブだった。)ギョロなんか

に負けてたまるかと言わんばかりに隣または正面位置を死守しようと体当たりする

勢いで突進した。ギョロも私が狙っていることを察知していたのか、ホームで私を

見かけるとそのギョロついた眼で睨んできた。

(あっ、ギョロだ!あいつブスのくせに、譲二君の傍に行こうとしてやがる!クッ

ソー邪魔なんだよ!)

たまにギョロが私と譲二君の間に入って正面に位置をキープしたときは、かなりム

カついた。

(あんなブスギョロに負けてたまるか!)
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