バカ恋ばなし
「ねぇ~これから二次会でカラオケ行かない~?」
北島さんが目の座った顔で声をかけてきた。
「いいねぇ~行こう行こう!」
宴会に参加していた中堅看護師の山田さんと平田さんが張り切った口調で言ってきた。
「すみません、私、迎えが来るので……」
広瀬が申し訳ない口調で言ってきた。これから彼氏が迎えに来るとのことだった。
「ねぇ先生達も行かない?石家先生はもう本院へ帰っちゃうんだからさぁ~行こうよ~。」
北島さんが石家先生に身体を摺り寄せながら言ってきた。
「えぇ~ご一緒させてもらえるんですかぁ~?ではぜひぜひ!」
石家先生も真っ赤なクシャクシャ笑顔で言った。
「じゃあみんなで行こう行こう!!」
結局二次会のカラオケには北島さんと平田さん、山田さんの中堅看護師3人と喜屋武教授と石家先生と私が参加することになり、他は一次会で終了となった。車で来ているのは平田さんと私で、他はタクシーで来ていたので、それぞれの車に便乗してすぐ近くにあるカラオケボックスへ向かうことになった。私の車には偶然にも喜屋武教授と石家先生が乗ってきた。今度は石家先生が助手席に乗ってきた。
「丸ちゃ~んまたよろしくね~!やっぱりこの車、乗り心地がいいねぇ~!」
石家先生は車内を見渡しながらはしゃいだ声で言ってきた。
「先生~また酔っぱらってますね。大丈夫ですか?」
「あぁ~大丈夫大丈夫!」
「じゃあ、行きますよ!」
私はエンジンをかけて車を出した。カラオケボックスはパブからはそれほど遠くない場所にあるので、すぐに着いた。駐車場について車のドアを開けると夜空の冷たさが心地良く感じた。後部座席から喜屋武教授が少しふらつきながら出てきた。
「先生、大丈夫ですか?」
私は喜屋武教授に近づいて聞いた。
「あぁ、丸田くん、大丈夫だよ~。」
喜屋武教授は真っ赤な顔で思いっきり目が座っていた。少しふらつく足取りなので、転ぶんじゃないかと思い、私は教授の腕を持って身体を支えながら傍について歩いた。石家先生も反対側の隣について一緒に歩いた。
「いや~夜風が気持ち良いなぁ~。」
石家先生が夜空を見上げながら言った。私は石家先生の横顔をジッと見た。その横顔は真っ赤だが爽やかで整っていた。
(やっぱりステキだなぁ~。あのときの言葉、本心だったらどんなに嬉しいことか……)
私は石家先生の横顔を見ながらふと心の中で思った。
カラオケボックスの部屋に案内されると、既に北島さんがカラオケで演歌を歌っており、その横で山田さんがハンドベルをチリチリ鳴らしてはしゃいでいた。しばらくおばさん達のカラオケ大会が続き、北島さんや山田さんがはしゃぎまくっていた。私はソファーの隅に腰を下ろし、注文したおつまみのポッキーをポキポキ食べながらその様子をボーっと見ていた。喜屋武教授は私の隣に座って満面の笑みで手拍子をしていた。そのうちトイレへ行きたくなったので、部屋を出てトイレに向かった。トイレから出てきてとき,男性用トイレから石家先生が出てくるのが見えた。
「あ、先生!」
私は石家先生に声をかけた。
「お、丸ちゃん!」
石家先生は真っ赤なクシャクシャ笑顔を向けて近づいてきた。そして私に抱き着いてきた。私の顔は先生の胸の中に埋まった。私は抵抗せず、両手を先生の腰に添えた。
「丸ちゃん……俺酔っぱらっちゃったよぉ~。」
石家先生は私の頭の上に顔をのせて小さな声で言ってきた。
「先生~相当飲んでいたみたいだから……」
私は先生の胸に埋もれながら言った。
「ねぇ、丸ちゃん……」
「うん?」
「こっち向いて……」
私はゆっくりと胸から顔を離して石家先生の顔を見上げた。石家先生の顔がスッと近づき、唇と唇が触れた。お酒と煙草の臭いが一気に鼻に突いた。
(え、え、え、えぇ~??!!、もしかして、あのときと同じ??!!!)
私の胸はドクドクとハイスピードで高鳴り出した。身体が動けずそのまま目を閉じるだけしかできなかった。そして、先生の舌がヌルっと私の口の中に入り、ウネウネと動き出した。煙草の味が口の中に伝わってきた。もう私は頭の中が真っ白になりかけ、されるがままに立っていた。
数秒後、石家先生はゆっくりと唇を離した。
「丸ちゃん……俺丸ちゃんのことイイなあと思っていたんだよ……」
石家先生は囁くような声で言ってきた。私はまともに先生の顔が見れず、唇を離した後は先生の胸にうずくまるように俯いた。
「私もです……先生のこと、イイなあと……」
私は俯きながら小さな声で言った。石家先生はそのまま私を抱きしめていた。そして、おでこにチュっとキスをした。私の胸ははち切れんばかりにドキドキと鼓動が強く高鳴っていた。
(酔っぱらったままでもいい!!そのままの状態でいられれば……)
そんな思いが頭の中を渦巻いた。でも、あまり長く部屋を離れていると、他の人たちにバレてしまう。
「先生、部屋に戻りましょうか。」
「そうだね……」
石家先生は私の背中に回している手を離し、ゆっくりした足取りで部屋に向かった。私は少し遅れて時間差で部屋に戻った。
「遅いじゃないの~!何やってたの~?」
北島さんが座った目でジッと私の顔を見ながら言ってきた。
「い、いや~ただトイレに行って外の空気を吸ってきただけですよ~。」
私はニッコリ笑いながら答えた。心の中はドキッとしていた。
(まさか……もしかして気付かれたのかな……)
「ねぇ丸ちゃん、なんか歌った?歌ってないんじゃないの~?歌いなよ~。」
平田さんが歌本を私に差し出してきた。私は歌本のページをペラペラ捲り、適当に歌謡曲を1曲選んで番号をリモコンで入力した。チラッと石家先生の方を見ると、先生はソファーに座ったまま首を項垂れて目を閉じていた。
時計の針はいつのまにか深夜0:00を回っていた。
「もうお開きにしようか!」
北島さんが言い、二次会は終了となった。カウンターに行って皆で料金を集めて支払い、カラオケボックスを出た。夜風が冷たく頬を突き刺してきてそれが心地良く感じた。
「丸ちゃんは先生達を送ってくれる?」
北島さんは歩きながら私に言ってきた。私はドキッとした。
「あっ、はい!」
「じゃ、よろしくね~。気を付けて帰ってね~。」
北島さんは一瞬ニヤッと笑みを浮かべながら言って手を振り、山田さんと一緒に平田さんの車に乗って帰っていった。
(もしかして……北島さんは私が石家先生のことが好きだってこと、勘付いているのかな……)
私は、北島さんに自分の想いを勘付かれているのではないかと一瞬不安と驚きが頭の中を巡った。
千鳥足で歩いている先生二人を後部座席に乗せ、私はエンジンをかけて車を走らせた。
北島さんが目の座った顔で声をかけてきた。
「いいねぇ~行こう行こう!」
宴会に参加していた中堅看護師の山田さんと平田さんが張り切った口調で言ってきた。
「すみません、私、迎えが来るので……」
広瀬が申し訳ない口調で言ってきた。これから彼氏が迎えに来るとのことだった。
「ねぇ先生達も行かない?石家先生はもう本院へ帰っちゃうんだからさぁ~行こうよ~。」
北島さんが石家先生に身体を摺り寄せながら言ってきた。
「えぇ~ご一緒させてもらえるんですかぁ~?ではぜひぜひ!」
石家先生も真っ赤なクシャクシャ笑顔で言った。
「じゃあみんなで行こう行こう!!」
結局二次会のカラオケには北島さんと平田さん、山田さんの中堅看護師3人と喜屋武教授と石家先生と私が参加することになり、他は一次会で終了となった。車で来ているのは平田さんと私で、他はタクシーで来ていたので、それぞれの車に便乗してすぐ近くにあるカラオケボックスへ向かうことになった。私の車には偶然にも喜屋武教授と石家先生が乗ってきた。今度は石家先生が助手席に乗ってきた。
「丸ちゃ~んまたよろしくね~!やっぱりこの車、乗り心地がいいねぇ~!」
石家先生は車内を見渡しながらはしゃいだ声で言ってきた。
「先生~また酔っぱらってますね。大丈夫ですか?」
「あぁ~大丈夫大丈夫!」
「じゃあ、行きますよ!」
私はエンジンをかけて車を出した。カラオケボックスはパブからはそれほど遠くない場所にあるので、すぐに着いた。駐車場について車のドアを開けると夜空の冷たさが心地良く感じた。後部座席から喜屋武教授が少しふらつきながら出てきた。
「先生、大丈夫ですか?」
私は喜屋武教授に近づいて聞いた。
「あぁ、丸田くん、大丈夫だよ~。」
喜屋武教授は真っ赤な顔で思いっきり目が座っていた。少しふらつく足取りなので、転ぶんじゃないかと思い、私は教授の腕を持って身体を支えながら傍について歩いた。石家先生も反対側の隣について一緒に歩いた。
「いや~夜風が気持ち良いなぁ~。」
石家先生が夜空を見上げながら言った。私は石家先生の横顔をジッと見た。その横顔は真っ赤だが爽やかで整っていた。
(やっぱりステキだなぁ~。あのときの言葉、本心だったらどんなに嬉しいことか……)
私は石家先生の横顔を見ながらふと心の中で思った。
カラオケボックスの部屋に案内されると、既に北島さんがカラオケで演歌を歌っており、その横で山田さんがハンドベルをチリチリ鳴らしてはしゃいでいた。しばらくおばさん達のカラオケ大会が続き、北島さんや山田さんがはしゃぎまくっていた。私はソファーの隅に腰を下ろし、注文したおつまみのポッキーをポキポキ食べながらその様子をボーっと見ていた。喜屋武教授は私の隣に座って満面の笑みで手拍子をしていた。そのうちトイレへ行きたくなったので、部屋を出てトイレに向かった。トイレから出てきてとき,男性用トイレから石家先生が出てくるのが見えた。
「あ、先生!」
私は石家先生に声をかけた。
「お、丸ちゃん!」
石家先生は真っ赤なクシャクシャ笑顔を向けて近づいてきた。そして私に抱き着いてきた。私の顔は先生の胸の中に埋まった。私は抵抗せず、両手を先生の腰に添えた。
「丸ちゃん……俺酔っぱらっちゃったよぉ~。」
石家先生は私の頭の上に顔をのせて小さな声で言ってきた。
「先生~相当飲んでいたみたいだから……」
私は先生の胸に埋もれながら言った。
「ねぇ、丸ちゃん……」
「うん?」
「こっち向いて……」
私はゆっくりと胸から顔を離して石家先生の顔を見上げた。石家先生の顔がスッと近づき、唇と唇が触れた。お酒と煙草の臭いが一気に鼻に突いた。
(え、え、え、えぇ~??!!、もしかして、あのときと同じ??!!!)
私の胸はドクドクとハイスピードで高鳴り出した。身体が動けずそのまま目を閉じるだけしかできなかった。そして、先生の舌がヌルっと私の口の中に入り、ウネウネと動き出した。煙草の味が口の中に伝わってきた。もう私は頭の中が真っ白になりかけ、されるがままに立っていた。
数秒後、石家先生はゆっくりと唇を離した。
「丸ちゃん……俺丸ちゃんのことイイなあと思っていたんだよ……」
石家先生は囁くような声で言ってきた。私はまともに先生の顔が見れず、唇を離した後は先生の胸にうずくまるように俯いた。
「私もです……先生のこと、イイなあと……」
私は俯きながら小さな声で言った。石家先生はそのまま私を抱きしめていた。そして、おでこにチュっとキスをした。私の胸ははち切れんばかりにドキドキと鼓動が強く高鳴っていた。
(酔っぱらったままでもいい!!そのままの状態でいられれば……)
そんな思いが頭の中を渦巻いた。でも、あまり長く部屋を離れていると、他の人たちにバレてしまう。
「先生、部屋に戻りましょうか。」
「そうだね……」
石家先生は私の背中に回している手を離し、ゆっくりした足取りで部屋に向かった。私は少し遅れて時間差で部屋に戻った。
「遅いじゃないの~!何やってたの~?」
北島さんが座った目でジッと私の顔を見ながら言ってきた。
「い、いや~ただトイレに行って外の空気を吸ってきただけですよ~。」
私はニッコリ笑いながら答えた。心の中はドキッとしていた。
(まさか……もしかして気付かれたのかな……)
「ねぇ丸ちゃん、なんか歌った?歌ってないんじゃないの~?歌いなよ~。」
平田さんが歌本を私に差し出してきた。私は歌本のページをペラペラ捲り、適当に歌謡曲を1曲選んで番号をリモコンで入力した。チラッと石家先生の方を見ると、先生はソファーに座ったまま首を項垂れて目を閉じていた。
時計の針はいつのまにか深夜0:00を回っていた。
「もうお開きにしようか!」
北島さんが言い、二次会は終了となった。カウンターに行って皆で料金を集めて支払い、カラオケボックスを出た。夜風が冷たく頬を突き刺してきてそれが心地良く感じた。
「丸ちゃんは先生達を送ってくれる?」
北島さんは歩きながら私に言ってきた。私はドキッとした。
「あっ、はい!」
「じゃ、よろしくね~。気を付けて帰ってね~。」
北島さんは一瞬ニヤッと笑みを浮かべながら言って手を振り、山田さんと一緒に平田さんの車に乗って帰っていった。
(もしかして……北島さんは私が石家先生のことが好きだってこと、勘付いているのかな……)
私は、北島さんに自分の想いを勘付かれているのではないかと一瞬不安と驚きが頭の中を巡った。
千鳥足で歩いている先生二人を後部座席に乗せ、私はエンジンをかけて車を走らせた。