バカ恋ばなし
「いやぁ~悪いねぇ~丸田くん。よろしくね~。」
喜屋武教授は真っ赤な顔でニッコリ笑いながら多少呂律が回らない口調で言ってきた。車内はお酒の臭いが一気に充満した。私は運転席側の窓を5cm程開けた。夜風の冷気が速攻入り、頭が冴えた。まずは喜屋武教授を自宅まで送り届け、その後石家先生の住んでいる病院の医師寮へ向かった。
「先生、着きましたよ。大丈夫ですか?」
私は後部座席へ振り向いて石家先生に声をかけた。運転中、先生はずっと目を閉じて寝ていた。
「う~ん……あ、着いた?」
石家先生は両腕を大きく広げて伸びをした。
「はい、着きましたよ~。」
「ありがとう。」
私は、車を降りて後部座席のドアを開けた。石家先生はゆっくりと車から足を降ろした。そのときフラッと右側によろめいたので、私はとっさに左腕を掴んで支えた。
「あ、ありがとう……俺……かなり酔ったみたい……」
石家先生は車から降りて歩き出したが、少しグルグルとふらついていたので、私は先生の左腕を持って傍について一緒に歩いた。先生の部屋のある寮1階の左端の部屋まで行った。先生はドアを開けてクルっと私の方を見た。
「入る?」
私の胸はドキんと強く高鳴った。
「うん……」
私は少し俯きながら頷いた。
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