snowscape~彼と彼女の事情~
「いや、あの、二人が先行ってるから旬さんを呼んできてって…」
腹の底から出したつもりの声はカッコ悪く裏返り、ありえない小ささ。
「わかった」
聞こえずらかったのか、旬君の返事もとても小さくか細い。
そして、吸っていたタバコを丁寧に押し付けた旬君は
「よし、行くか」
と言い、景品の白いクマのぬいぐるみをコートのポケットに入れ、ゆっくりと歩き始めた。
「あ、はい」
どうしても彼に近寄れないこの微妙な距離感。
それは、互いに心を開ききれていない事を証明してるようなものだった。
“親密さ0”
この表現が一番あっているかもしれない。
「どこの部屋?」
「あ、17番の部屋です」
旬君の足が止まり、振り返えられれば、あたしの足も自然と止まってしまう。
彼の瞳にあたしが映っているのは現実なのに、足がすくんじゃう…
「なんか、俺怖いかな?」
「えっ?あ、いや、そんなことないです」
不自然なものの言い回しで返事してしまったあたし。
感じ悪いし、第一印象は最悪だろう…
それっきり、旬君はその事について深く追求もせず、前を向いてひたすら歩きだした。
あたしは、こんな自分にがっかりし、溜め息をもらしかけたが、ますます場の雰囲気を壊したくなくて息を飲み込んだ。
亜紀達が待っている17番の部屋の前に着き、旬君がドアをなんなく開けると
「おい、旬っ!!おせ~よ」
相変わらずチャラい隼人君は、ニヤケ顔で旬君に手を振り、いやらしく鼻の下を伸ばしていた。
短い時間でも、亜紀と二人きりでいれたのが嬉しかったんだろう。
腹の底から出したつもりの声はカッコ悪く裏返り、ありえない小ささ。
「わかった」
聞こえずらかったのか、旬君の返事もとても小さくか細い。
そして、吸っていたタバコを丁寧に押し付けた旬君は
「よし、行くか」
と言い、景品の白いクマのぬいぐるみをコートのポケットに入れ、ゆっくりと歩き始めた。
「あ、はい」
どうしても彼に近寄れないこの微妙な距離感。
それは、互いに心を開ききれていない事を証明してるようなものだった。
“親密さ0”
この表現が一番あっているかもしれない。
「どこの部屋?」
「あ、17番の部屋です」
旬君の足が止まり、振り返えられれば、あたしの足も自然と止まってしまう。
彼の瞳にあたしが映っているのは現実なのに、足がすくんじゃう…
「なんか、俺怖いかな?」
「えっ?あ、いや、そんなことないです」
不自然なものの言い回しで返事してしまったあたし。
感じ悪いし、第一印象は最悪だろう…
それっきり、旬君はその事について深く追求もせず、前を向いてひたすら歩きだした。
あたしは、こんな自分にがっかりし、溜め息をもらしかけたが、ますます場の雰囲気を壊したくなくて息を飲み込んだ。
亜紀達が待っている17番の部屋の前に着き、旬君がドアをなんなく開けると
「おい、旬っ!!おせ~よ」
相変わらずチャラい隼人君は、ニヤケ顔で旬君に手を振り、いやらしく鼻の下を伸ばしていた。
短い時間でも、亜紀と二人きりでいれたのが嬉しかったんだろう。