snowscape~彼と彼女の事情~
「旬は働きもんだな〜!!若いのに珍しいよ」
「いや、そんな事ないっすよ」
淡々と仕事をこなしていく俺に親方が嬉しそうに言う
「まだ1年も経ってないのによ、学生だった奴は怠け癖ついてる野郎ばかりだったけど旬は違う」
きっと褒めてくれているのだろうけど、
人相の悪い親方が真剣な顔をしていると、どうも緊張してしまう。
「ありがとうございます」
ここら辺で受け止めておこうと、そう言葉を吐くと、一緒に働いている俺より若い奴等と目が合った
“プライド”
俺が今仕事に精を出しているのはここに理由がある。
俺よりも若いコイツ等に指図されることが何より気に食わないからだ
職人と学生との大きな違いだ
学生の頃は年齢がたった1つだけ違うってだけで
誰が植え付けたのか先輩面して偉そうにしていられる
だけど今は違う
経験がものを言う世界
いくら年上だどろうが経験がなく仕事ができなきゃ指図される
そんなこと専らごめんだ。
俺は、コイツ等を抜かなくてなならない
一日も早く……
「期待しているよ」そう肩をポンと叩かれたが、その分厚い手、腕の太さから俺の体は簡単によろけてしまう。
自分ではスタイルがいいと思っていたが、この世界ではそれはただのひ弱さえ思えてしまう。
「ジム通おう」
作業をしながら呟くと、与えられた仕事を淡々とこなした。