snowscape~彼と彼女の事情~
茉莉の言葉一つで、変なことを思い出してしまった。
「おい!!何やってんだよ!!!」
さっきまで、俺に突き飛ばされて涙を流していた茉莉はテーブルの上に無造作に置いてあった俺の携帯を触っていた。
「メールなんか入ってきたから返信しておいた」
血相を変えた茉莉の顔を見て、おそらく友里が送信したものじゃないかと確信していた。
他の女かもしれない、それでも俺は友里だとばかり思っている。
「勝手なマネすんなよ!!お前帰れよ!!!」
取り乱している茉莉を見て、俺もいつの間にか取り乱していた。
なぜなのだろう?
いつものら冷静でいられるはずなのに……
「旬は、あたしだけを見てくれないの?どうして?愛してないの?」
愛……?
やめてくれよ
俺が女を愛する?
冗談じゃない……
「つーか、帰ってくれよ、こういうの本当に無理なんだよ!!たまにの休みくらい一人にさせてくんね?」
ベッドに体を倒すと、茉莉が突っ立っている方向とは反対に顔を背けると俺は無理やり目を瞑って寝に入ろうと必死だった。
茉莉の企みも知らないまま……