snowscape~彼と彼女の事情~
「アンタって最低な男ね、幻滅したわ……」
耳元で、あまりにもしつこく鳴り続けた電話に出てみたら、いきなり聞こえてきた言葉。
その瞬間、すぐにツーツーという機械的な音に変わり俺は頭をグシャグシャにした。
上手く頭が回っていないのは寝起きのせいでもあるが、それ以前になぜ俺がそんなことを言われなきゃいけないのかも分からない。
しかも着信履歴を見てみれば、数字がズラリと並んでいる。
「誰だ……?」
間違いなのであろうか、でもあんな言葉はいつ言われてもおかしくないほど、俺はきっと女たちに恨まれるようなこともしてきたのも確かで……
携帯を見つめていたって、答えを教えてくれる訳でもないだろうと思った俺は、それを閉じてはまた目を瞑った。
ん……?
アイツはどこに行ったんだろう……
記憶を辿ってみれば、この部屋に茉莉がいたはずだ。
その姿をベッドの中から捜してみれば、この部屋にいないことはすぐに気づいた。
どこに行ったのだろう?なんて考えなど間違いなく浮かんでくることはなく、日曜なのに、アイツが俺の傍に纏わりついていないことが不気味に思えて、
何か企んでいるんじゃないかと思ってしまうほど。