snowscape~彼と彼女の事情~
それにしても悪い目覚めだと今更ながらに思った。
なんで、俺は休みの朝を怒りの電話なんかで起こされなくてはいけないのか……
携帯を再び手に取ると着信履歴を出しては知らない番号を見つめる……。
「うおっ!!」
その時、いきなり鳴りだした携帯にびっくりしながらも、かけてきた相手の名前を見てなんだか安心した自分がいた。
「なに?」
「なんだよ、その電話の取り方はよ……」
相変わらずだ……なんて言いながら、いつものテンションとは明らかに違う隼人の声
「で、なに?」
はぁ~と大きなため息を吐いた隼人はやっぱりらしくないとも思ったが、なんだか今日は妙に朝っぱらから不愉快だと思った。
「あのさ、お前のことは否定するつもりはねぇよ、今に始まった事じゃねぇし」
そんな諦めたような口調で話し始めたかと思えば「だけど、もう少し考えて発言してやってくれよ」なんて付け加えた。
全くもって意味が分からない。
寝起きで、しかも俺の唯一の休みを、朝から変な電話ばかりが支配してくれている。
「あのよ、わりぃ~けどいい加減にしてくんねぇ?」
「あのよ、旬……お前のストレートすぎる言葉は普通の人間は傷つくんだよ」
「はっ!?」
「ましては、友里チャンにあんな暴言止めろよ!!!」
「お前さ……」
「俺と亜紀の仲まで大変なことになっちまったつーの」
イライラを感じさせる隼人の言葉は珍しいことだと思った。
そして、亜紀に本気なこともよく分かった。
だけど、俺はどうも理解できないことばかりで……
「つーか、俺がなにしたってんだよ!!]
その言葉に「もういいわ……」と小さな声で呟きを落とし電話が切れた。