snowscape~彼と彼女の事情~
はっ……?
最後の最後まで意味不明な電話だった。
再びツーツーという機械的な音を聞かされ、俺は雑に携帯を閉じるとベッドの上に置いてあるタバコを取り出しくわえた。
「俺が何したってんだよ!!」
いつも俺に文句も言わない隼人が、あんな態度なのだから、よっぽど俺が気に食わないようなことをしたのだろうけど……
昨夜のことを振り返ってみたって、隼人とは俺の家の近くで別れ、なにもなかったはずなのに。
もしかしたら、俺は夢遊病で、寝ている間に何か問題でもおこしたとでも言うのか……
ガチャンーーー!!
と、玄関の方から聞こえた音に耳を傾ければ「起きたの?」なんて声が俺の部屋の中に響いた。
だろうな、と思った。
俺の休みに茉莉が俺から離れることなんて何か事件がおきない限りないだろうと思っていた。
やっぱり、今日の休みはろくなもんじゃないと思わせるばかりで「ああ」と一言だけ返せば、
昨日の茉莉はどこへ行ったのかと思わせるくらい、笑顔で近づいてきては咥え煙草していた俺の口からそれを取りキスをしてきた。