snowscape~彼と彼女の事情~


ーー着信あり1件ーー

ーー新着メールありーー



その画面上に書かれている言葉を発見したのは、仕事が終わって片付け終わった一服中だった。



メールは開かなくても《お疲れ様☆》と習慣のように入れてくる茉莉に違いないが、着信に気になり着信記録を開いた。



隼人か……。


にしても、用事がある時や約束をしている時にはいつも仕事が終わる頃にかけてくる


その辺はちょっと気の利いた奴のはずなのに、


今日は約束もしていなければ、かけてきた時間も14:20分とまた微妙な時間だ。


「なんだ?」


不自然な隼人の行動に、迷わず電話をかけると


それは待っていたかのようにコールを一度も聞くことなく、


すぐさま隼人の相変わらず高い声が聞こえた。



「旬っ?あのさ、仕事終わった?」


「あ?なに?」


「頼みがあるんだけど」


その声はどこか焦っている隼人を浮かばせていて「頼み?」と聞き返すと


「いや、お願い?」と、またもや焦りを感じさせる声で聞き返してきた。


「なんだよ」


「今日さ、カラオケに行こう!!」



「は?」


「カラオケ!!」


「お前、バカか……」


俺がカラオケが嫌いなことは隼人はよく知っているはずだ、何度か行ったこともあったが歌を歌ったことなんてない。



一体、あんな小さな箱に閉じ込められて歌って何が楽しいのかさえ俺には分からない。


「今日はお願いっ!!」


「いや、カラオケは無理っ!!つーか明日休みなのによ、わかんだろ?連絡くるに決まってるよ」


「そこをなんとかっ!!」


「『なんであたしと逢ってくれないの〜??』ってまためんどくせ〜ことになるのもごめんだ」


「茉莉チャンには俺からちゃんと言っておくから!!」


その言葉に、俺は一瞬無言になった。
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