可愛い幼なじみの求愛
「週末、予定あいてる?」
「ん?」
私は今、ソファー座っていて、隣には楓くんが居る。
今日のお昼ごはんの時に咲からもらった水族館のチケットを楓くんに見せる。
楓くん、予定あいてるといいな。
「これは、水族館のチケット?」
「そう。咲にもらったんだけど…一緒に行きませんか?」
私がそう言うと楓くんは目をキラキラと輝かせた。
「行きたい!!風菜とのデートってことだよね」
デ、デ、デートって私と楓くん、まだ付き合っていないのに……。
だけど、なんだか少し嬉しい感じがする。
まるで、ホントの恋び……まだ、違う!
楓くんの隣に並んだら不釣り合いだし、自分の気持ちもいまいち分かっていない。
「風菜どうしたの?なんか、百面相してるけど……」
「あっ!ごめん、ちょっと考えごとしてた」
顔に出てたのか……。
「そういえば、楓くん。昔、水族館好きだったよね。今も好きなの?」
楓くんは昔、水族館がとっても好きだった。
色んな魚の水槽の前を通ると、図鑑で覚えた知識を、つたない言葉で私に一生懸命説明してくれた。
その時の楓くんはとってもかっこよくて見惚れた。
「うん!でも最近、全然行けてない」
「そうなの?いっぱい行ってるのかと思った」
「行ってないよ。だって……」
楓くんの雰囲気が変わった。
どんどん迫ってくる。
そして、気づいた頃にはソファーに押し倒されていた。
「か、かか楓くん、近い……」
今にも唇が触れそうな距離。
頬が熱い。
楓くんは押し倒されている私の上に膝をついてまたぐ。
「中学の頃は風菜、探すのに必死だったから」
一生懸命、探してくれてたんだ……。
胸が感謝の気持ちでいっぱいになる。
私は楓くんの両頬を手で包み込む。
「一生懸命探してくれたんだね、ありがとう」
私がそう言うと楓くんは目を見開いた。
「僕ね、風菜のことが大好きなの。だから、ずっと探してたし、これからもずっといたい。」
楓くんの頬にある私の手に楓くんが手を重ねる。
「僕……足んないの」
「足んない?」
「うん。風菜にもっと触れたい」
「なっ………」
まさかこんなことを言われるなんて思ってもみなかった。
胸がドキドキと高鳴る。
「キスとか、ほんとはしたい」
まっすぐ、見つめられる。
楓くんの顔は真剣で何かと戦っているようだ。
「だけど……それは恋人になってからだよね。風菜の嫌がることはしたくないから」
そう言って楓くんは頬から手を移動させ、私の髪の毛を人差し指ですくう。
そして、
「ッ………」
すくい上げた髪の毛に唇をそっとつけた。
私は驚いて声が出なかった。
いきなりすぎるし……恥ずかしい。
私は楓くんの頬から手をバッとのけ、自分の顔を隠した。
「嫌だった?」
楓くんのシュンっとした声が、聞こえる。
私は首を横に振った。
「良かった」
嫌ではなかったから。
もっとしてほしいと、一瞬でも思ったから。